国立大学法人三重大学ハラスメントの防止及び対策に関するガイドライン

 

I ハラスメントに関する基本的事項

第1 ガイドライン制定の趣旨

  このガイドラインは,国立大学法人三重大学(以下「本学」といいます。)を構成す
 るすべての者が個人として尊重され,人権侵害のない快適な環境において学び, 教育・
 研究し,働くことができるよう,本学におけるハラスメントの防止及び対策のために必
 要な事項を定めるものです。

第2 ハラスメント及びそれに対する基本的態度

  ハラスメントは,人種,国籍,民族,性別,出身地,宗教,政治的信条,年齢,職業,
 身体的特徴等広く人格にかかわる事項又は教育・研究若しくは就学,就労にかかわる事
 項において,相手の意に反する不適切な言動により,相手に不利益を与えたり,人とし
 ての品位と尊厳を著しく損なうものです。さらには,そのことによって就学,就労,教
 育・研究又は課外活動を行う環境を著しく悪化させます。

  ハラスメントは,科学・技術,芸術・文化の継承と発展のために教育・研究上の社会
 的責任を負う大学として,決して容認できないものです。

  本学は,ハラスメントの防止に全力を注ぐと同時に,ハラスメントが発生した場合に
 は,被害者の救済に努め,加害者に対しては,深い反省を求めるために,懲戒処分等を
 含め,厳正に対処(加害者が学外者である場合にあっては,必要かつ適切な措置をとる
 よう努力)します。

第3 本学の責任と構成員の義務

  学長は,ハラスメントの防止,対策及び被害者の救済に関する施策等全般について責
 任を負います。

  各学部,各研究科,附属図書館,医学部附属病院,各学内共同教育研究施設,保健管
 理センター,各学内共同利用施設,知的財産統括室及び事務局(監査チームを含みます。)
 (以下「部局等」といいます。)の長は,その施策等の具体的な実施について責任を負
 います。

  役員及び職員(常勤・非常勤を問いません。本学に派遣労働者として派遣されている
 者を含みます。以下同じです。)並びに学生(学部学生・大学院学生・科目等履修生・
 研究生・公開講座の受講生等本学で教育を受けるすべての者を指します。)・生徒・児
 童・園児(以下「学生等」といいます。)を指導監督する立場にある者は,ハラスメン
 トのない良好な環境を確保するために,日常的な活動の中で,役員及び職員並びに学生
 等に指導・助言等を行い,ハラスメントに起因する問題が生じた場合には,迅速かつ適
 切に処理する責任を負います。

  本学のすべての構成員は,個人としての人格を互いに尊重する義務を負います。その
 義務には,人としての尊厳を傷つけることになるハラスメントを起こさないこと,また,
 その防止に努めることが含まれます。したがって,本学のすべての構成員は,特に次の
 ことを理解しておく必要があります。

 1 相手の人格の尊重及び相手の立場に立った行動を心がけ,コミュニケーション・ギ
  ャップをつくらないことが良好な人間関係を形成する基本であり,地位を利用して人
  格的に支配したり,心理的圧迫又は身体的苦痛を与えたりすることは,絶対に行って
  はなりません。

 2 行為者が意識していない場合であっても,相手方の尊厳を損ない不快にさせる言動
  は,ハラスメントに当たることがあります。むしろ,行為者のこのような無自覚がハ
  ラスメントの被害を生みだしたり,ハラスメントを放置したりする結果になることを
  深く認識する必要があります。

 3 相手方の社会的・文化的・宗教的背景によって,ある行動がハラスメントになるか
  どうかに違いが生じる場合があります。自分の価値観で一方的に判断せず,絶えず相
  手の立場に立って考え,行動することが大切です。

第4 ガイドラインの対象範囲

 1 このガイドラインは,役員及び職員並びに学生等本学の構成員すべての者を対象と
  します。なお,役員及び職員については離職後,学生等については卒業・退学等で本
  学の学籍を失った後においても,在職中又は在学中に受けたハラスメントに関する相
  談(以下「相談」といいます。)を行うことができます。

   また,加害者とされる者が既に離職又は学籍を喪失している場合でも,その者が在
  職中又は在学中に行ったことであれば相談を行うことができます。この場合において,
  本学は,本学の権限の及ぶ限り,事実関係の解明と適切な措置をとるよう努めます。

 2 このガイドラインは,ハラスメントが本学構成員相互間において問題となる場合は,
  それが発生した場所・時間を問わず適用されます。

第5 ハラスメントの形態

  民主的かつ自由な環境下で教育・研究が行われるべき大学において,特に問題となる
 ハラスメントは,セクシュアル・ハラスメントとアカデミック・ハラスメントに大別さ
 れます。

 1 セクシュアル・ハラスメントについて

 一 セクシュアル・ハラスメントとは,次の行為をいいます。

  ア 行為者の性的言動が,相手方に不快と受け止められ,その言動に対する相手方の
     対応の仕方によって,行為者が職務上の地位や権限を利用して相手方に利益若しく
   は不利益を与えること又は与えようとすること(対価型・地位利用型セクシュアル
   ・ハラスメントと呼ばれます。)。

  イ 行為者の性的言動が,相手方に不快と受け止められ,就学,就労,教育・研究,
   課外活動の遂行を妨げる等環境を悪化させること(環境型セクシュアル・ハラスメ
   ントと呼ばれます。)。

  ウ 性的欲求や関心に基づく不快な性的言動ではないが,性的な固定観念や役割分担
   等の差別意識や優越意識に基づく相手方を不快にさせる言動(ジェンダー・ハラス
   メントと呼ばれます。)。

 二 セクシュアル・ハラスメントは,我が国の社会状況や雇用環境等から,男性から女
  性に対してなされる場合が多いのですが,女性から男性への場合又は同性間の場合で
  も問題となります。

 三 セクシュアル・ハラスメントの具体的な事例

   次に示す具体的な事例のように,大学におけるセクシュアル・ハラスメントは,教
  育職員と学生,上司と部下等いわゆる上下関係にある者の間で生じるのが一般的です
  が,役員及び職員並びに学生等においてそれぞれの同僚,同級生,先輩・後輩,上級
  生・下級生の間でなされる場合又は学生等から役員若しくは職員に対して,役員若し
  くは職員から学生等に対してなされる場合も問題となります。

   なお,ある言動がセクシュアル・ハラスメントに当たるかどうかは,あくまでも相
  手の受けとめ方(「不快」と感じるかどうか)によるのであって,その言動を行う者
  の感覚で判断されるものではないことに注意してください。

  ア 対価型・地位利用型セクシュアル・ハラスメント

    職務上若しくは教育・研究上の地位を利用して,又は利益若しくは不利益を与え
   ることを条件にして性的要求をすること及びそれへの対応によって相手に就学,就
   労,教育・研究,課外活動に関し利益又は不利益を与えることがこれに当たります。

   @ 教育・研究上の指導若しくは評価,利益の与奪又は人事権若しくは業務指導権
    の行使等を条件とした性的働きかけをすること。

   A 個人的な性的要求への服従又は拒否を,教育・研究上の指導若しくは評価又は
    学業成績等に反映させること。

   B 個人的な性的要求への服従又は拒否を,人事及び勤務条件の決定又は業務指揮
    に反映させること。

   C 相手への性的な関心の表現を業務遂行に混交させること。

  イ 環境型セクシュアル・ハラスメント

    次の具体例のような言動により,就学,就労,教育・研究,課外活動の遂行を妨
   げる等環境を悪化させることが,これに当たります。

   @ 性的な内容の発言

    a スリーサイズを聞く等身体的特徴を話題にすること。

    b 聞くに堪えないような卑わいな冗談を交わすこと。

    c 相手の性的魅力又は自分の抱く性的関心にかかわる事柄を話題にすること。

    d 性的な経験又は性生活について質問すること。

    e 特定個人の性に関する風評を流すこと。

   A 性的な行動

    a ヌードポスター等を職場に貼ること。

    b 雑誌又はパソコンディスプレイ上の卑わいな写真・画像,記事等をわざと見
     せたり,又は読んだりすること。

    c 相手の身体を長い間じろじろ眺めたり,目で追ったりすること。

    d 食事,デート又は性的な関係をしつこく迫ること。

    e 相手の身体の一部(肩,背中,腰,頬,髪等)に意図的に触れること。

    f 性的な内容の電話をかけたり,又は性的な内容の手紙若しくは電子メールを

     送ること。

    g 浴室,更衣室等をのぞき見すること。

  ウ ジェンダー・ハラスメント

     ジェンダー(gender)とは「社会的性差」という意味で,ジェンダー・ハラス
    メントとは,性に関する固定観念又は差別意識に基づく嫌がらせ等を指します。
    次の具体例のように,女性又は男性という理由のみで性格及び能力の評価並びに
    決めつけを行うこと等が,これに当たります。

    a 「女には仕事を任せられない」,「女は職場の花でさえあればよい」,「男の
     くせに根性がない」等の発言をすること。

    b 女性であることだけで,職場でお茶くみ,掃除又はコピーとりをさせたり,
     私用に関する使い走り等をさせること。

    c 相手の人格を認めないような形で,「男の子,女の子」,「おじさん,おばさ
     ん」等という呼び方をすること。

    d カラオケのデュエットを強要すること。

    e 酒席で,上司の側に座席を指定したり,お酌又はチークダンスを強要するこ
     と(これらの行為は,地位利用型・対価型又は環境型セクシュアル・ハラスメ
     ントに該当する場合もあります。)。

 2 アカデミック・ハラスメントについて

 一 アカデミック・ハラスメントとは,教育上,研究上若しくは職場での権力を濫用し
  て,教育指導,研究活動若しくは労働に関係する妨害や嫌がらせの働きかけをしたり,
  不利益を与える行為をすることをいいます。

 二 アカデミック・ハラスメントの具体的な事例

   アカデミック・ハラスメントと認定される可能性がある事例は,次のとおりです。
   なお,アカデミック・ハラスメントが次の事例で尽きるわけではありません。また,
  同様に行われる言動であっても,その背景及び様々な状況等によってアカデミック・
  ハラスメントであったり,そうでなかったりすることがあります。以下に示す事例は
  あくまでも例示ですので,これら以外の言動にも注意する必要があります。

  ア 研究の妨害 <学生や教育職員に対して>

   @ 論文提出時の逸脱した条件の要求

    a  卒業論文,修士論文又は博士論文の提出条件を十分に満たしているにもかか
     わらず,提出を許さないこと。

    b 行き過ぎたプレッシャーにより研究成果を要求すること。

      A 研究チームからの不当な排除

    a  当然加わるべき研究チームから理由なく排除すること。

    b 研究室の他のメンバーに対して正当な理由なく関係を断絶させること。

      B 研究活動の不当な制限

    a 実験や研究のための機器や設備を理由なく使用させないこと。

    b 研究上の評価をする際に,恣意的に不当な評価を行うこと。

    c 研究発表活動(論文や学会発表,その他の著述等)を不当に制限すること。

   C 指導の拒否及び放置

    a 指導を求められても,理由なく指導をしようとしないこと。

    b 指導大学教員の交替が制度上可能であり,正当な理由のもとに学生がそれを
     希望しても指導大学教員の指導から離脱させずに放置すること。

   D 業績搾取

    a 正当な理由なく論文著者や順序を変更すること。

    b 研究業績を指導大学教員や他の者に変更するように圧力をかけること。

    c 個人的アイデアによってはじまった未発表の研究を了解なく他の者に行わせ
     ること。

  イ 修学や進路の妨害<学生等に対して>

   @ 修学の権利の侵害

    a 授業中に人格を貶める言動や、大学教員の学説等に従わせようとする脅迫的
     な言動を行うこと。

    b 成績の不当な評価を行う,又は評価に無関係な事柄を成績に結びつける発言
     をすること。

    c 求められた教育上の指導を正当な理由なく拒否すること。

    d 常識的には不可能な課題達成を強要すること。

   A 進路(進学・卒業・就職等)の妨害

    a 個人的な感情から,奨学金や日本学術振興会特別研究員などの申請に必要な
     推薦書を書かないこと。

    b 休学,退学,転学,転学部,転学科を強制すること。

    c 休学,退学,転学,転学部,転学科について,本人の自由な意志決定を妨害
     しようとすること。

    d 他の大学院を受験したいと希望しても,誓約書を書かせるなどして受験させ
     ないようにすること。

    e 大学卒業後又は大学院修了後の進学・就職について,進路先における自分の
     影響力を示唆することで,本人の自由な意志決定を妨害しようとすること。

    f 卒業や論文審査について,自分の権限の範囲を逸脱した発言を行うこと。

    g 就職が内定した後に,内定先とのコンタクトをまったく認めないことなどに
     より就職を妨害すること。

  ウ 研究室生活における強制

    a 研究室に早朝から深夜までいることや,泊まりでの実験を強制すること。

    b 休日を―切とらせないこと。

    c 研究室内の雑用をある特定の個人に集中してやらせること。

    d 教育・研究とは無関係な学外での私的交際を強要すること。

  エ 教育の妨害<教育職員に対して>

    a 正当な理由なく授業を担当させないこと。

    b 教育上の評価をする際に,不当な評価を行うこと。

    オ 就業上の権利の侵害や業務の妨害<職員に対して>

    a 昇進や業績評価にあたって恣意的に不当な妨害を行うこと。

    b 業務に関して著しく不公平・不当な評価を行う,又はその種の発言によって
     脅威を与えること。

    c 勤務時間では不可能な,又は休日の作業が必要になるような逸脱した業務の
     達成を要求すること。

    d 業務に支障が出る程度に,指示決定を遅らせること。

  カ 身体・精神的暴力

    a 暴力をふるったり体罰を加えたりすること。

    b 名誉や人格を著しく傷つけるような発言をすること。

    c 不当な仲間はずれを行うこと。

    d 長時間にわたり又は繰り返し問い詰めたり,拘束したりすること。

 

U ハラスメントの防止及び対策

第6 ハラスメントの防止及び対策のための措置

  本学においては,ハラスメントの防止,対策及び被害者救済のため,学長及び部局等
 の長が,次の必要な措置を講じます。

 1 ハラスメントを未然に防止するために,研修及び啓発活動を行います。役員及び職
  員並びに学生等には,その年に行われるいずれかの研修への参加を義務づけます。

   なお,研修には,学長が主催するもの及び部局等の長が主催するものがあります。

 2 ハラスメントが発生するような環境及び慣習を改善します。

 3 ハラスメントに関する相談窓口を全学に複数設け,相談員を配置します。

   なお,相談員及び相談窓口に関することは,国立大学法人三重大学におけるハラス
  メントの防止及び対策に関する規程第6条から第9条までに規定されています。

 4 ハラスメントの防止及び対策を検討,実施するため,三重大学ハラスメント対策委
  員会(以下「ハラスメント対策委員会」といいます。)を設置します。

 5 ハラスメントの加害者に対しては,懲戒処分等の必要な措置をとります。

第7 ハラスメント対策委員会の役割

  ハラスメント対策委員会は,ハラスメントの防止及び対策等についての全体的方針を
 立てるとともに,次のような活動を行います。

  なお,ハラスメント対策委員会は,各理事,各学部又は研究科の長,医学部附属病院
 長及びハラスメントに関し専門的知識を有する者若干名の委員をもって組織されていま
 す。また,必要に応じて弁護士等の学外の者を特別委員として加えることができます。
 ハラスメントに関し専門的知識を有する者の委員の任期は2年です。また,ハラスメン
 ト対策委員会委員は,相談員を兼ねることができません。

 1 ハラスメントを未然に防止するために,研修及び啓発活動を行います。また,ウェ
  ブページを開設し,学内に対して恒常的な広報活動を行います。

 2 ハラスメントが発生するような環境及び慣習を改善するために,また,ハラスメン
  トを解決するために必要な措置を審議し,その実施を学長又は部局等の長に要請しま
  す。

 3 相談がなされた場合において,被害を受けたとされる者からの要請があったとき又
  は相談員からの報告によりハラスメントに該当するか否かを審議し,事実関係を明ら
  かにする必要があると認めるときは調査委員会を設置し,調査します。

   また,調査委員会を設置したときには,直ちにその旨を,被害を受けたとされる者
  及び加害者とされる者(以下「当事者」といいます。)及び当事者の所属する部局等
  の長に連絡します。

 4 調査委員会からの報告を受けたときは,遅滞なく,ハラスメント行為の有無につい
  て審理し,認定を行います。

 5 ハラスメントの認定の結果は学長に報告するとともに,速やかに当事者及び当事者
  の所属する部局等の長に通知します。また,必要に応じて当該ハラスメントの相談員
  に対して,審理及び認定結果の要旨を通知します。

 6 当事者は,当該ハラスメントの認定の結果に異議がある場合には,認定の結果の通
  知を受けた日から起算して14日以内に文書によりハラスメント対策委員会委員長に
  対して異議を申し立てることができます。

 7 異議の申し立てに係る審議に当たって,当事者はハラスメント対策委員会に対して
  意見を述べることができます。

 8 ハラスメントに対する対応及び審理のいかなる段階においても,当事者のいずれか
  と利害関係のあるハラスメント対策委員会委員が審議等に加わることはありません。

 9 その他ハラスメントの防止・対策に関する必要な措置及び活動を行います。

第8 相談窓口の役割

 1 ハラスメントに対応するために,相談窓口を全学に複数設け,相談を受け付けます。

 2 相談員は,相談者の所属部局等にかかわらず,どの相談窓口でも行うことができま
   す。また,相談は,ハラスメントの被害を受けたとされる者だけでなく,被害を受け
  たとされる者の代理人,被害を目撃した第三者及び加害者とされる者も行うことがで
  
きます。

   なお,相談は,原則として複数の相談員が対応しますが,相談者が望まない場合に
  は相談者の意向に添います。

 3 相談員は当該部局等からの推薦に基づき,学長が任命します。相談員の部局等から
  の推薦に際しては,性別に配慮されます。相談員の任期は,2年とし,再任は妨げま
  せん。

 4 相談員に対しては,定期的に必要な研修を実施します。

 5 相談員は,相談者の立場に立って相談を受けるとともに,相談者の了解のもとに,
  その相談内容を記録し,ハラスメント対策委員会に報告します。

 6 相談員が当事者のいずれかと利害関係にあるときは,他の相談員と交代するか,又
  は当該相談を別の相談窓口に移します。

第9 指導・助言による解決

  ハラスメント対策委員会は,相談員の報告を踏まえ,事態の推移や当事者の意向等を
 考慮して,次のような対応を行います。

 1 ハラスメントの被害を受けたとされる者が不快だという意思表示が十分でない場合
   等は,加害者とされる者に対してその意思を明確に伝えられるようにするなど,被害
  を受けたとされる者に様々な援助,助言を行います。

 2 ハラスメントの当事者を監督する立場の者に対して,ハラスメント対策委員会名で
  当事者に助言・指導するなど解決のための措置をとるよう要請します。この場合,併
  せて,被害を受けたとされる者の保護を含め,当事者の人権及びプライバシーに十分
  配慮するよう求めます。

 3 話合いによる和解で解決できるよう当事者に指導・助言します。

 4 ハラスメント対策委員会名で直接,ハラスメントの加害者とされる者に対して注意
  をします。

   また,加害者とされる者に対して,研修に必ず参加するよう指導します。

第10 調査委員会の役割

 1 調査委員会は,原則として当事者の所属する部局等を除く部局等の職員3名の委員
  をもって組織します。ただし,ハラスメント対策委員会が特に必要と認めた場合で,
  被害を受けたとされる者が同意したときは,当事者の所属する部局等の委員候補者を
  委員に加えることがあります。

   調査委員会委員は,ハラスメント対策委員会があらかじめ指定した調査委員会委員
  候補者の中からハラスメント対策委員会が選考し,学長が任命します。調査委員会委
  員の選考に際しては,性別に配慮されます。

 2 調査委員会は,申し立てられたハラスメントに関する事実関係を調査します。また,
  調査に当たって,当事者及び関係者から事情を聴取します。

 3 調査委員会は,原則として3カ月以内に調査を終了し,その結果を遅滞なくハラス
  メント対策委員会に報告します。

 4 調査委員会は,次の場合,委員の交代を行います。

  @ 当事者から,委員が調査に当たっての遵守事項のいずれかに違反したとして,委
   員交代の申出があったとき。

    A 委員が当事者のいずれかと利害関係にあることが明らかになったとき。

    B 委員が不適切な調査活動を行ったとき。

  C その他調査を進めるに当たって,委員の交代が必要とハラスメント対策委員会が
   判断したとき。

 5 調査委員会は,次の場合,調査を中止することがあります。

  @ 被害を受けたとされる者が,調査の中止を申し立てたとき。

  A 加害者とされる者が本学の構成員でなくなり,かつ,調査の続行が困難となった
   とき。

  B 調査開始から3カ月以上が経過し,これ以上調査を行っても進展が見込めないと
   判断したとき。

 6 ハラスメント対策委員会は,次の場合,再調査を命ずることができます。

  @ ハラスメントの認定の結果,当事者から異議申立てがあった場合及び調査開始か
   ら3カ月以上が経過し調査の進展が見込めない場合で,弁護士等の特別委員を加え
   て審議した結果,再調査が必要であると判断したとき。

  A 調査委員会の報告を受け,その事実関係の調査内容が不十分であると判断したと
   き。

 7 ハラスメント対策委員会は,前記6の場合において,従前の調査委員会に再調査を
  命ずることが適切でないときには,新たに調査委員会を置き,調査を命ずることがあ
  ります。

第11 臨時の対応措置

 1 ハラスメント対策委員会委員長は,ハラスメントに関する相談が行われた時点又は
  手続の進行中において,ハラスメントの疑いのある行為が継続しており,かつ,事態
  が重大で緊急性があると認める場合は,被害を受けたとされる者の了解の上で,当事
  者に対し,学長及び当該部局等の長と協議の上,臨時の対応措置をとることができま
  す。

   なお,「事態が重大で緊急性があると認める場合」とは,次のような場合が考えら
  れます。

  @ 被害を受けたとされる者の心身に危害が及んでいるとき又は危害が及ぶことが予
   想されるとき。

  A 被害を受けたとされる者の就学,就労,教育・研究若しくは課外活動の遂行を妨
   げる等の支障が生じているとき又は支障が生じることが予想されるとき。

 2 前項の措置は,当該行為をハラスメントとしてハラスメント対策委員会が認定する
  前に行うものであることから,当該措置の妥当性を事後において速やかに検証します。
  そのため,調査委員会が設置されていない場合には,調査委員会等を設置し,ハラス
  メントの疑いのある行為の事実関係の調査を行います。

 3 臨時の対応措置によりハラスメントの疑いのある行為が改善され,また,被害を受
  けたとされる者も当該措置以上の対応を望まない場合は,前項の措置をとらないこと
  があります。

第12 学長及び部局等の長がとるべき措置

 1 学長及び部局等の長は,次のような措置を行います。

  @ 加害者に対してハラスメントに関する特別研修を義務づけるとともに,悪質な場
   合の退学,懲戒解雇等の処分を含め,加害行為の程度に応じた必要な措置

  A 被害者に対する心理的ケアを含む可能な限りの救済及び援助措置

  B 再発防止のための授業停止,指導大学教員の交代,必修単位の代替措置,ゼミ・
   サークルの活動停止,職場等の環境改善命令等の措置

 2 学長及び部局等の長は,被害者からの求めに応じ行った措置の内容を被害者に知ら
  せます。

第13 関係者のプライバシー(秘密)及び名誉の保護

  相談,必要な改善・救済 措置等に関係した者が,裁判所の文書提出命令等に応じる
 ほかは,相談等で知り得た秘密を漏らしたり,相談者を含む関係者のプライバシー及び
 名誉を害する行為をすることはありません。

 

V ハラスメントヘの対処

第14 相談

 1 ハラスメントにあった場合には,自分一人の力で解決するのは非常に困難なことが
  あります。それは,決してハラスメントを受けた側の責任ではありません。本学は,
  ハラスメント問題を力を合わせて解決するために,相談窓口及び調査委員会等,被害
  者の側に立った制度を設けています。この制度は,まず第一に被害を受けたとされる
  者の意思を尊重し,その救済に当たるものですから,一人で悩まず安心して利用して
  ください。

 2 相談は,役員及び職員については離職後,学生等については卒業,退学等で学籍を
  失った後においても行うことができます。

 3 相談は,いずれの相談窓口でも行うことができます。最も相談しやすいところに相
  談に行ってください。また,一人で相談に行き難いときには,親しい友人等の付添人
  (学外者を含みます。)の同伴も認められます。

 4 相談は,被害者とされる者だけでなく,被害者とされる者の代理人,被害を目撃し
  た第三者も行うことができます。

 5 相談は面談だけでなく,手紙・電話・電子メールでも行うことができます。また,
  匿名でも行うことができます。相談員への連絡方法は,パンフレット,ウェブページ
  等を御覧ください。

 6 相談に当たっては,ハラスメントに関する証拠のようなものは必ずしも必要とはし
  ませんが,相談後,調査を円滑に進める等のために,可能であれば加害者とされる者
  から受けた言動等を記録しておいてください。

 7 相談窓口での相談は,被害を受けたとされる者の立場を尊重して行われます。被害
  を受けたとされる者が,今後どのように問題を解決できるかについて相談に応じると
  ともに,必要な場合には,カウンセリング等の手配も行います。

 8 相談員は,加害者とされる者又は第三者から事情を聞く場合があります。

 9 相談員は,相談の開始に当たって,対応する相談員の氏名を相談者に知らせます。
  相談者は,関係する相談員が当事者と利害関係をもっているときは,相談員の交代又
  は相談の打切りを求めるとともに,別の相談窓口を利用することができます。

 10 相談員は,相談者の了解のもとに,相談内容を文書で記録し,相談者の署名・確
  認を受けた上で,ハラスメント対策委員会に報告します。

第15 事実関係の調査

 1 被害を受けたとされる者からの要請があったとき又は相談員からの報告によりハラ
  スメント対策委員会が必要と認めたときには,調査委員会を設置する等,事実関係の
  調査を行います。

 2 調査に当たっては,当事者の名誉・プライバシー,人権に十分配慮し,秘密を厳守
  します。

 3 調査の途中で,委員が当事者と利害関係にあることが判明した場合には,当該委員
  を直ちに交代するとともに,選考手続に基づいて他の委員を補充します。

第16 措置

 1 相談に応じた相談員,調査委員会委員,ハラスメント対策委員会委員及び部局等の
  長の全関係者は,裁判所の文書提出命令等に応じるほかは,相談で知り得た秘密を漏
  らすことはありません。

 2 相談,必要な改善・救済措置等に関して,相談者を含む関係者のプライバシー又は
  名誉を害する行為は,固く禁止されています。

 3 被害者を含む関係者に対して,相談,必要な改善・救済措置等を理由とする報復及
  び不利益な扱いは,固く禁止されています。

 4 前3項のいずれかに違反して秘密の漏えい,関係者のプライバシー若しくは名誉を
  害する行為又は報復若しくは不利益な扱いが行われた場合には,学長は,直ちに必要
  な調査を行い,懲戒処分等の適切な措置をとります。

 5 ハラスメントに関する虚偽の申立又は証言は許されません。ハラスメント対策委員
  会は,虚偽の申立又は虚偽の証言について必要と認めるときは,学長又は部局等の長
  に対して適切な措置をとるように通知します。

W その他

第17 ガイドラインの見直し

  このガイドラインは,必要に応じ適切な見直し及び改定を行います。

  附 記

1 このガイドラインは,平成19年6月28日から施行し,平成19年4月1日から適
 用します。

2 国立大学法人三重大学職員セクシュアル・ハラスメント防止対策ガイドライン(平成
 16年4月1日制定)は,廃止します。