日本経済は、地球規模の大競争時代が到来する中で、バブル経済の後遺症と構造改革の先送りシンドロームにより、20世紀末の10年を「失われた10年」として漂流してきた。三重県への企業立地は比較的活発化しつつあるが、国際競争の荒波の中で比較優位条件が低下する既存産業における設備縮小、雇用機会の先細りは地域住民の不安心理を増幅させる一因となっている。また、既存市街地の商店街における空洞化現象が投げ掛けるまちづくりのあり方への取り組みも十分とは言えないように思われる。 このような認識に基づいて、我々は問題意識を共有できる地域社会の皆さんと研究交流をすることによって、地域経済に関する創造的な情報発信をしようと思い立つに至った。幸いにも、四日市市や三重県のご理解により、交通至便の三重北勢地域地場産業振興センターにおいて定期的に集まって夜間の研究交流講座を設けることが可能になった。従来から豊富な産業集積の実績のある四日市市で、地域経済に関する研究交流の拠点を開くことにより、学問と現実世界との接点で生き生きした議論が出来ることは望外の喜びである。 あらゆる面でささやかな、実験的なスタートではあるが、志を同じくする方々と共に学び、議論を重ねることにより、地域の課題の克服の為にいささかでも貢献したいと念願するものである。意欲ある方々の積極的なご参加とご支援を切に希望する。 |