- 学長通信 -

三重大学長ブログです。

最後の学長通信

学長の任期もあと2週間足らずとなりました。今年になってレイムダックになるのではと心配していましたが、これまで以上に多忙となりました。学校教育法と国立大学法人法の一部改正のためこの3月末までに大学の学則や規定を変更しなければならなくなりました。そして、そのことを学内の教職員に周知徹底することが求められたからです。加えて、第3期の中期目標計画策定の準備もしなければなりません。これらの業務以外に退任のご苦労さん会が連日連夜続きます。ゆっくりする暇無しですので、4月からのゆとりを楽しみにしています。

学長通信の6年間ご愛読?ありがとうございました。今回を最後とします。学長になった2009年4月が最初の通信です。それから毎月1回欠かさずに6年間にわたって続けました。大学の教職員へ学長としての私の思いを伝えたいとの動機からスタートしました。任期を終えるにあったって改めて読み返してみますと、この間それなりに自分自身も成長していることが実感できたような気がします。妻から言わせるとそれも自己満足かもしれませんが。多くの大人は、成長は子供に限定したものだと考える傾向があります。そして自分たちにとって成長と言う言葉は死語である思っています。しかし、経験や知識を積み重ねることによりわれわれの知性は確実に高まります。高齢化が急速に進む中、歳を重ねた皆さんが「人は何歳になっても成長するんだ」とのことを信じて、前向きに生きなければこの超高齢社会が豊かにならないでしょう。

最後ですので気楽に趣味のゴルフの話で締めます。20年前はシングルプレーヤーを目指したこともありましたが、現在は緑の中、歩きながらプレーを楽しむことを優先しています。そのためか一向に上達しませんが、18ホールを歩き続けるとよい運動になります。正確に測定したことはないが2万歩近く歩くことになっていて、私の健康にとって必要不可欠な作業です。

年間30ラウンドが平年ですが、2014年度は40ラウンドを超えそうです。皆さんから忙しくてなかなかプレーできないでしょうとの質問をよく受けますがそんなことはないと考えています。土、日に祝日を加えるとおおよそ120日は休日です。40ラウンドはその3分の1ですので、そんなに難しい数字とは思えません。休日に行事が組まれていることは多いですが、それでも月に平均4-5回でしょうか。それに休日出勤は一日中とは限りません。午前中で終われば、午後スルーで、午後の用事であれば早朝スルーといくらでもプレーをする機会はあります。気持ち次第です。外国出張から日曜の朝に帰国して、昼からプレ-の時もあります。「先生は元気ですね」と言われますが、本人はそれほどハードとは感じていません。

それが行政の長となると見る目も違ってくるでしょう。総理大臣、知事、市長になるとこの国ではゴルフは目の敵にされているのではと思えてきます。安倍総理も相当にゴルフ愛好家のようですが、思うようにプレーができていないのでは?哀しいかなです。日本の官僚機構は世界に冠たるものであるため、余程の大事でない限りは事の処理は可能です。危機管理の観点からよりは道義的問題として捉えられることが多いのでは思えます。一方、オバマ大統領のプレーぶりには目を見張るものがあります。年間平均30ラウンドをプレーするとのこと。大統領再選後の2013年には46ラウンドプレーしたとの記録があります。激務の中でのことであり、大統領の体力、気力、実行力に心より敬意を表します。それを非難がましく言わないアメリカ国民にもエールを送りたい。

長年ゴルフをしているので最高のスコアは74、2オーバーです。この時は信じられない距離のパットが決まったり、チップインバーディーとなったり、OBになると思ったあたりが木に跳ね返ってフェアウエー上に戻ったりと幸運続きでした。こんなことがあってよいのかと不安になるほどでした。それも20年ほど前の話で、最近は年々スコアが悪くなっています。ドライバーの距離が落ち、そんなはずはないと力んで方向が定まらなくなり、さらに力が入る悪循環です。目が悪くなっているのかパットの距離感も方向性も良くない。知人とプレーをすると「先生はお上手ですね」とお世辞を言ってくれますが、口の悪い妻は「それだけプレーをしていたら、そのぐらいのスコアは当たり前でしょう」と皮肉を込めて言います。

ゴルフを始めた頃はバブル絶頂期で3時間以上かけてコースに向かうこともしばしばでした。夜が明ける前に出て、夜が暮れて帰宅が当たり前の時代でした。その上取れない予約に高いプレー代金で2-3ヶ月に1回と苦労してプレ-をするのですから、真剣にならざるを得ません。そのためにドライビングレインジで練習もしました。それが今では、自宅から30分以内に10コース以上、プレー代金も津近辺では比較的安く気楽に行けますので、その分真剣みに欠けます。しかし、高齢者にとってゴルフは楽しみながらの運動です。現職の今はまだお誘いがかかりますが、その内に減ってくるのは目に見えています。そのために数年前に妻にもゴルフを教えました。これが予想外の苦労でした。妻にとって私からあれこれ言われるのが腹立たしいのでしょうか。最初の内は喧嘩になることもありましたが、現在ではやっと夫婦で楽しむことができるようになりました。これは私だけの思いかもしれませんが。

病院長の4年を含めると10年間にわたって重職を何とか無事努めることができたのは心身ともに私の健康管理につとめてくれた妻の内助の功によるものと感謝しています。若い頃は妻に対する感謝の言葉を発することに躊躇したものですが。

学長通信をまとめて一冊の本にしました。本のタイトルには迷いました。ある人は前回の本が「何とかなる」でしたので今度は「何ともならない」ではと茶化す同僚もいました。この間実に多くの人の知己をえて自らも成長することを実感しましたので本のタイトルを「60歳からの成長」としました。3月10日発売です。

三重大学の益々の発展と教職員の活躍を心より祈っています。そして、学生たちの元気な行動や声が飛び交うキャンパスであること願っています。私の座右の銘である「一隅を照らす」を皆さんにお送りして稿を終えます。

「三翠の 彼岸桜に吹く風は 世界になびく エコと防災」