- 学長通信 -

三重大学長ブログです。

教職員の皆さんへ

平成24年6月に文部科学省は大学改革実行プランを打ち出して、それを強力に推し進めてきています。現在の日本は、歴史上希に見る急速な少子高齢化、情報通信や交通の発達によるグローバル化、地域コミュニティの衰退など急激な社会の変化の中にあります。その中で、大学は社会の変革を担う人材育成、知的基盤の形成やイノベーションの創出など、「知の拠点」として役割を果たすため、大学は変わらなければなりません。三重大学が教職員それぞれ独自の目的のためだけではなく、誰のため、何のために存在しているのかを考える「意識改革」が求められています。

まずは文部科学省が取りまとめた「大学改革実行プラン」を示します。「大学改革実行プラン」は、2つの大きな柱と、8つの基本的な方向性から構成されています。

1つ目は、「激しく変化する社会における大学の機能の再構築」であり、

   1. 大学教育の質的転換、大学入試改革

   2. グローバル化に対応した人材育成

   3. 地域再生の核となる大学づくり(COC (Center of Community)構想の推進)

   4. 研究力強化(世界的な研究成果とイノベーションの創出)

を内容としています。

そして、2つ目はそのための「大学のガバナンスの充実・強化」であり、

   5. 国立大学改革

   6. 大学改革を促すシステム・基盤整備

   7. 財政基盤の確立とメリハリある資金配分の実施
       【私学助成の改善・充実~私立大学の質の促進・向上を目指して~】

   8. 大学の質保証の徹底推進
       【私立大学の質保証の徹底推進と確立(教学・経営の両面から)】

を内容としています。

「大学改革実行プラン」は、あるべき論を示すのではなく、24年度直ちに実行することを明らかにし、今年と次期教育振興基本計画期間を大学改革実行期間と位置付け、計画的に取り組むことを目指します。大学改革実行期間を3つに区分し、PDCAサイクルを展開します。

平成24年度は、「改革始動期」として、国民的議論・先行的着手、必要な制度・仕組みの検討、平成25、26年度は、「改革集中実行期」として、改革実行のための制度・仕組みの整備、支援措置の実施、平成27年度~29年度は、取組の評価・検証、改革の深化発展を実施し、改革の更なる深化発展を行います。

このプランが示される以前から三重大学は大学改革のため,教育の質向上、研究の集約化、地域との連携を進め成果を上げてきました。それでもスピード感が足りない,社会の方向を向いていない、ガバナンスができていないなど大学全体に対する批判は少なくありません。大学が自律的改革を進めていると国民に写っていないからであろう。

もう一度繰り返します。大学改革とは「教職員の意識改革」にほかなりません。大学の教職員は皆さん大きな夢を抱いています。それは現実感に乏しい世界を見つめる夢でよいのですが、それでも三重大学や地域の人々と夢を共有するのにどうすればよいかを必死に考えなければなりません。地域に根付いてこそ世界に発信できることを忘れないで下さい。