- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

大学と地域社会の交わりの場としての大学祭
~鈴鹿医療科学大学の碧鈴(へきれい)祭にて~

  今、全国各地の大学祭のシーズンですが、私が4月から副学長を務めている鈴鹿医療科学大学(以下鈴大と略します)では、10月31日~11月1日に第19回の大学祭が開催されました。今年のテーマは「燦燦(さんさん)」。

  鈴大の大学祭は「碧鈴(へきれい)祭」と言います。

 S091102688.JPG 「碧」という字を調べてみると、“音読みは「ヘキ」、訓読みは「みどり」。青緑色の宝石を表す字で、転じて青みがかった緑色の意味”や、“[音]ヘキ(漢)、[訓]あお あおい みどり。深い青色、青緑色”などとなっています。

 

 

   ところで、三重大のシンボルは「三翠(さんすい)」でしたね。「翠」も“あお”や“みどり”という意味で、かわせみの青緑色の羽毛の色やヒスイの濃い緑色からきているということです。翠と碧は微妙に違いがあるようで、翠玉(すいぎょく)とはヒスイの意味で、碧玉(へきぎょく)とは、ジャスパーとも言われ、微細な石英の結晶が集まってできた鉱物で、酸化鉄や水酸化鉄などの不純物の違いによって、紅色・緑色・黄色・褐色など様々な色や模様のものがあるとされています。いずれにせよ、翠も碧も青みどり系統の色をさし、「翠碧」や「碧翠」という使い方もあるようなので、これは三重大と鈴大が連携していることにぴったりのシンボルカラーですね。

S091102621.JPG  さて、私は碧鈴祭の1日目を覗いてみたのですが、模擬店や野外ステージなど、大学祭に定番の催しはもちろんありますが、最初に心が和んだのが、オープニングを飾った“あおい保育園”の鼓笛隊のパフォーマンスでした。これは医療福祉学科のみなさんのご尽力によるもので、このような地域の園児が大学祭に参加していただけるのは、医療福祉学科の皆さんのふだんからの地域社会とのかかわりの賜だと思います。今インフルエンザ流行の真っ最中なので、参加をしていただけないかもしれないとの心配もあったようですが、参加が実現して何よりでした。 

 鍼灸学部の展示室にいくと、一般の来場者で大にぎわい。お子さんをあずかるコーナーも準備され、子供づれのお母さんたちもたくさんきておられました。漢方のお茶の体験や、お灸の体験をしていただけるコーナーもありますよ。説明を担当する学生さんたちは、学生とは思えないほどしっかりと熱意をもって説明し、学生たちのプロ意識に感心しました。 

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S091102662.JPG 医療栄養学科は“地産地消”がテーマで、学生のみなさんがいっしょうけんめい作ってくれた地域の産物を生かした“緑茶のパウンドケーキ”と“ひじきのクッキー”はおいしかったですよ。

 

 

 

 広場でジャグリングをやっている学生さんがいたので見に行くと、理学療法学科の学生さんで、広場から離れている展示室に来場者を案内するための“客寄せ(?)”の努力ということでした。案内の学生さんに連れられて理学療法学科の展示室にいくと、学生さんたちが一生けん命手伝ってくれて、いろいろなリハビリの体験をさせてくれました。車椅子の体験や、義足や義肢の体験をすると、障害をもたれた方々の大変さが実感できますよ。私もそのうちお世話にならないといけないんですからね。

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   2年前に鈴大に開設された薬学部の展示室では、これからは、薬剤師が単に調剤するだけではなく、医師といっしょに患者さんと直接接して、チーム医療に貢献できる力をつける必要があること、そして、そのために大学が6年制になって、病院での実習など患者さんに接する臨床能力を高めようとしていることを、学生さんたちが熱く語ってくれました。

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   紙面の関係ですべてをご紹介できませんが、臨床工学科では電子キットの作成に子供たちが一生懸命。医療情報学科、放射線学科もそれぞれ興味ある展示を行っていました。S091102625.JPG

   もちろん、ここにご紹介した展示だけではなく、野外劇場でのプロの歌手やタレントによる歌やお笑い、そして、延々と続く学生たちのライブ演奏会や模擬店を、それこそ碧天の秋晴れの「燦燦(さんさん)」とした日の光のもとで、丸一日楽しみました。

 大学祭は学生たちだけのものではなく、大学と地域社会の交わりの場として大きい役割を果たしていることを実感した碧鈴祭でした。11月7~8日に開催される三重大祭にも大いに期待したいと思います。