- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

"たぶん文部科学省で一番長い名前の会議"に一区切りがつきました
~国立大学の施設の充実、そして附属病院再開発への支援を望む~

 この4月から鈴鹿医療科学大学(鈴大)の副学長をつとめ、三重大学学長顧問や三重県文化振興財団の理事長も兼務し、その他、いろいろな社会的活動をお引き受けして、三重大の学長時代よりも忙しいかもしれない毎日を送ってきましたが、8月に入って長い梅雨があけると同時に鈴大の前期の講義も終わり、お盆休みに入ってようやく一息つきました。今から、忙しくてブログにあまり書けなかったいろんなことを、手当たり次第にご紹介しましょう。

 何からご紹介をしていいのかわからないんですが、そうですね、今日は3月3日のブログでご紹介した“今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議”という実に長い名前の会議のつづきをお話しましょう。この会議は、たぶん文科省の会議の中でもいちばん長い名前の会議なのではないでしょうか?

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 さて、今年の3月3日に「天下の東大でも雨漏りのする廃屋のような部屋で研究しているとは・・・」というブログを書かせていただきましたね。この会議の14人の委員の中の一人として東大のキャンパスを見学させていただいた時に、雨や風が入ってくるようなひどい研究室を見せていただいて、びっくりしました。東大ですらこんな具合ですから、国立大学全体の施設の整備は、まだまだ不充分だということが想像できますね。

 今、国立大学の施設の整備は「第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画」(平成18~22年度)という計画にもとづいて進められているんですが、実は、基本的な予算は毎年どんどんと削られ続けているんですね。大不況になると補正予算を突然つけていただくことがあるんですが、まさか次の大不況を心待ちにしているわけにはいきませんし、将来の建物の更新まで計算すると、ぜんぜん予算が足りないのです。

 今回の会議の役割は、これからも、国民が期待する教育や研究の成果をあげるために不可欠な施設の整備を国立大学等が続けていくことができるよう、新たな施設整備計画の基本方針を示すことなんですね。そして、委員の皆さんの真剣な討議の末に、7月31日の会議の結果、「中間まとめ」ができあがりました。その内容はインターネットで公開されていますよ。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/08/1282648.htm

 ブログの読者の皆さんが政府関係の文書を読まれることは少ないと思いますが、一度、覗いてみるのもおもしろいと思います。今では、ずいぶんと公開が進んで、インターネットで多くの政府関係文書が読めるようになりましたし、写真やイラストも入れて分かりやすくなっていますよ。09081002S.jpg

 私のこの会議での役目は、大学病院について有識者として意見を述べることでした。教育・研究・高度医療、そして地域医療の最後の砦(とりで)として、地域や国に大きな役割をはたしている大学病院の施設整備の重要性を訴え、また、病院の莫大な借金の返済のために先生がたの診療の負担が大きくなり、日本の臨床研究の論文数が減って国際競争力が低下しているという現実を説明し、その負担を少しでも軽くしていただくようお願いしました。

 今回の「中間まとめのポイント」(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/08/__icsFiles/afieldfile/2009/08/04/1282648_1.pdf)をのぞいていただくと、「今後重点的に整備が必要な施設を整理」のポンチ絵には「教育研究を活性化し「知」を発信・交流する教育研究環境の整備」「国際競争力のある世界的研究・教育拠点の形成」と並列に、「先端医療・地域医療に対応した附属病院の整備」が並べられており、大学病院の重要性がはっきりと示されていますね。私が委員として参加させていただいた甲斐(かい)があったのかなと思っています。09081001S.jpg

 新興国がどんどんと科学技術を発展させる中で、資源が少なく科学技術力でしか生きていけない日本は、いくら人口減少社会になりつつあるとは言え、もっともっと科学技術や教育に資源を集中しないと、希望をいだけない未来になると思っています。