- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

学生と先生の双方の「自問自答」で効果的な授業の場をつくろう
~キャリア教育概論「私の人生選択」(その2)~

 さて、きょうは宮崎冴子さんのキャリア教育概論での私の講義の続きをお話しましょう。今回は、上級生も含めた学生たちの感想文のいくつかをご紹介します。

 

『今回豊田前大学長には初めてお会いしましたが、こんなにも三重大学のために力を尽くしてくださっていたと知り、豊田前学長の熱意はすごいものだと思いました。三重大学は平成19年に運営費交付金の大幅な傾斜配分という危機にさらされ、豊田前学長が先頭を切って反対運動をおこしてくださったおかげで、今、私たちはこうして、安定した学生生活を送って授業を受け、充実した毎日を過ごすことができているのだと思います。感謝の気持ちでいっぱいです。今回の講演でお話してくださったことは、宮崎先生が授業でお話しする内容と同じことが多くあると思いました。「高い志をもっていれば、流れるままに、偶然のチャンスや出会いを活かすことができる」「自分のポジションでできることに全力を投入し、そしてプラスで、通常より少し範囲を超えることで、新しいいろいろな人生の展開ができる」「自問自答」この3つを講演のエールとしていただきました。豊田学長のように明るく過ごし、PDCAを地道に繰り返していきたいと思います。「人生無駄になることは一つもない」このエールをいただいたことで、今までのことも前向きに考えられるようになりました。』(1年生女子)

『去年豊田先生が学長として活躍なさっていたことは、今の2年生は良く知っていると思います。私は直接お話することはなかったのですが、三重大祭に私の所属するラジオサークルのブースに来て曲をリクエストして下さったことをブログで知り、「三重大学の学長ってすごい」とただ単純に感動しました。母も豊田先生のブログをチェックしており、話題になることも何度かありました。学長、校長、といった地域におられる方は生徒と直接コミュニケーションを取るイメージが全くなかったため、今回先生のお話を聞かせていただいてける機会をあたえられてとても嬉しかったです。・・・』(2年生男子)

『豊田先生は人生の中で様々なキャリアを積んでいた。その中でも、人との出会いを大切にしていて、そこで出会った人から進んで学んでいるところが素晴らしいと思った。“偶然与えられた機会を大切にする”という言葉が心に残った。本当にその通りだと思った。人生の中でチャンスは何度も来ることはないと思う。“失敗が福をもたらす”を信じて失敗を恐れず、チャレンジしたいと思う。いくら素晴らしい出会いや機会があっても高い志がなければ逃げてしまうとおっしゃっていた。・・・』(2年生女子)

『進路の選択にあたって、姉の助言に影響されたと言われていましたが、私も兄がいるのですごくわかるなあと思いました。それから地位を人生の目的にするのはよくないと言われていたのにはなるほどと感じました。ある目的に向かって努力した結果、そういった地位についた人の方が熱意があると思うし、そういう人が色々な人によい影響を与えるんだろうなと感じた。・・・・』(2年生女子)

『予想していた以上に実りある豊な授業で、非常にためになりました。豊田先生のお考えの中で特に共感したのが、
  ●常識に疑いを持つことから新しい発見が生まれる。
  ●先入観にとらわれずにゼロベースでものごとを考えることの大切さ
  ●勉強や研究をするのに、自分次第でどこでも一緒
  ●いいかげんな師について三年学ぶより、三年かかっても良い師を探せ
  ●最初は面白くなくても、やっているうちに面白さがわかることはよくある。
  ●世の中に追試のできない科学論文は沢山ある。
  ●純粋な熱意が人を動かす。
  ●一人でできることには限界がある。みんなの協力があって初めて仕事の達成が可能。
  ●一見自分の利益にならないと思われた努力が後で役立つことはよくある。
  ●人は自分の利益になることを人生の目的とするリーダーにはついていかない。
といったお言葉の数々です。大変学ばせていただきました。・・・・』(3年生男子)

『人生無駄になることは一つもないという言葉に共感しました。遠まわりをして三重大学に編入したけれど、三重大学に入って良かったと思うことがたくさんあります。いろんな出会いがありました。偶然与えられた機会をこれからも大切にしたいと思います。今日の授業も昨日ピアサポートルームで宮崎先生が声をかけてくれなければ受けることはありませんでした。講義を受けて今の自分自身の今の役割を一生懸命取り組んでいきたいという気持ちになることができました。・・・・』(4年生女子)

 きりがないので、このへんで学生たちの感想文の紹介をやめますが、私がどのようなことをしゃべったのか、もう読者の皆さんにはだいたい想像がつきますよね。

 私が学生にお話をしたことの一つに、授業に集中するために「何を身につけるのか」「何を身につけたか」を自問自答する習慣を身につけることの大切さがありますが、考えてみれば、そもそも教師のほうこそ、『いったい今日の授業で自分は学生さんに「何を身につけさせるのか」「何を身につけさせたのか?』を自問自答すべきですね。

 宮崎さんがやっておられる、毎回の授業の最後に感想文を提出させることは、学生さんがその授業で何を身につけたかを把握できる有効な手段の一つだと思います。他の先生にも実行しておられるかたが多いと思いますが、私は今まであまりこの方法は使っていなかったので、さっそく、次の授業からまねをしてみることにしましょう。

 学生と先生の双方が「自問自答」すれば、最も効果的な「授業の場」になると思います。