- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

いったい何が人生を大きく左右するのか?
~キャリア教育概論「私の人生選択」(その1)~

 前回は、鈴鹿医療科学大学での私のとっても楽しい授業についてお話をしました。鈴大の授業については、まだまだ楽しいことがあるのですが、きょうは、三重大での楽しい授業についてお話しましょう。

 

 

 6月17日(水)に特任教授の宮崎冴子さんが担当している共通教育の「キャリア形成概論」で、授業の一コマをさせていただきました。宮崎さんについては2008年12月17日のブログ「学長の授業参観~学生たちといっしょに元気な三重大に~」でご紹介しましたね。共通教育なので、全学部から学生が聞きにきており、その多くが1年生で、私と初めて接する学生さんがほとんどでしたが、2年生、3年生、4年生もいました。

 さて、キャリア教育ということなので、何をお話しようかと考えたのですが、結局、私自身のキャリアを題材にお話しすることにしました。ただ、私の人生は、けっこう特殊なので、果たして学生の皆さんに参考になるのかどうか、ちょっぴり不安でした。たとえば「エリート」だから、そういう人生が歩めたんだと思われてしまうと、若い人たちの参考になりませんからね。

 果たして、学生たちは私の人生の話をどのように受け取っていたのか?宮崎さんが毎回学生さんに提出させている授業の感想文を見せていただくことにしました。今回は、1年生を中心に感想文のいくつか(一部省略させていただいています)をご紹介することにいたしましょう。

 

  『医者であり、研究者であり、大学長である豊田先生。キャリアを見るだけでも私には考えられないようなものであった。しかし、実際に講義をうけて思ったことは、今日まで自分が生きてきた経歴や経験で非常に類似している点がいくつも見られて大変驚いた。急激に先生を身近に感じることができて、講義も理解しやすくなった気がした。さらに医者や、研究者や大学長としての問題やものごとに対する考え方というものも、私の立場においても適用できるものばかりで意外に思った。それらを中心にして、自分の考えも加えつつキャリアを形成していきたいと思った。特に失敗してしまったことや無駄になりそうだということに関しても全力で取りくむことの大切さ、それにより新しい道が開けるということ、熱き純粋な心を大切にしたい。・・・・』(1年生男子)

 『授業に集中するための自問自答の習慣と言うのは“目からうろこ!”のような感覚だった。「何を身につけるのか」「何を身につけたか」ということを考えたこともなかったです。これぞ授業を大切にするということですね。
偶然ってすごいなと思うけど、その思いがけなくやってきた事を自分のものとするのは、その人の力量だと思います。また、何事も一生懸命に取り組むということが人生のいかなる場面でも大切だということを証明してくれている人だと思いました。
うちの父が「三重大の学長はすごい」とよく言っていました。どういうことやろ?と思っていましたが、今日分かった気がします!!多分、豊田さんの努力のほんの一部しかまだ知らないだろうけど、それだけでも行動力のある素晴らしい人だと思いました。こんな人になりたいです。』(1年生女性)

 『受験生の頃、三重大のHPを良く見ていたので、豊田先生のことは知っていた。今日、豊田先生の半生、そしてPDCAについてなど、様々な話を聞いて、新しい発見がいくつかあった。豊田先生はこれまで自分の思い通り人生を歩まれてきたわけでなく、失敗もし、壁にもぶつかっている。これは人なら誰でも同じである。でも、そのとき、もうダメだ、もう無理だとあきらめるか、ここからがスタートだと気持ちを引きしめて前進するか、その選択が人生を大きく変え、その積み重ねが人間形成、アイデンティティーの確立に大きく貢献することになるのだと改めて実感した。・・・・』(1年生男子)

 『「一見無駄と思われることに対してどれだけ一生懸命になれるか?」という豊田学長の言葉が一番心に響きました。大学の、ある講義中「この話を聞いても自分にとっては何の利益もないのではないか」などと思いこんで、話を聞かないこともありました。私は今まで何をするに対しても自分の利益のことを考えてしまう癖があります。だから利益にならないものは無駄だと考え、行動に移さなかったことがたくさんあります。こんなつまらない考え方をしていた自分が情けなくなりました。・・・・』(1年生女子)

 『今日、三重大の前学長さんの話を聞けて、本当によかったと思っています。前学長さんは「自分の力だけでなく、周りの人に助けられて・・・」とおっしゃっていましたが、私は学長さん本人の人柄・性格に周りの人が魅せられていて、この人なら助けてあげようと思われるような方なのではないか、と実感しました。周りを幸せにする力、笑顔にする力、人をひきこむ力を短時間でしたが感じました。学長さんのような人間力を持った大人に、将来なれるよう努力しなければならないと思いました。同時に、三重大学にこんなに熱い思いを注いで、教育改革をなさっている人がいて、私たちの目に見えない所で精一杯頑張っていてくれているということに感動しました。本気で学生のことを考え、教育に対して情熱を持った方が、現在の三重大学の学長顧問でいらっしゃることに誇りを感じました。・・・・』(1年生女子)

 これらの感想文は、無記名ではなく記名方式なので、さすがに悪いことは書いてありませんが、私の伝えたいことが伝わっているようなので、ほっとしています。次回もこの続きをご紹介することにいたしましょう。