- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

鈴鹿医療科学大学でのとっても楽しい授業(その1)~現場でPDCAを回すことの大切さ~

 三重大での5年間の学長時代は、「運営」から「経営」へという意識改革を行い、「顧客第一」「財務の改善」「危機管理」「職員の成長」という4つの視点で、全部署・全階層で「PDCA」サイクルを回すことに全力を注ぎました。「PDCA」というのは、PLAN(計画)→DO(実行)→CHECK(評価)→ACT(改善)の頭文字をとったもので、このサイクルを回すことが“管理”や“経営”の根幹とされていますね。

 さて、4月1日に、三重大と包括連携協定を結んでいる鈴鹿医療科学大学(鈴大と略します)の副学長になって、2か月余りが過ぎ、ようやく、新しい職場にも慣れてきました。そして、鈴大で5年ぶりに講義を再開しました。

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 鈴大は、医師や看護師以外のコメディカルを育成しています。私の担当科目は「救急医学概論」で、理学療法学科、医療福祉学科、鍼灸学科の2年生、約150人の学生さんに、救急医学の初歩的なことを週1回教えています。私の専門は産婦人科だったのですが、産婦人科は大出血などもしばしばあるので、救急はお手のものですし、また、阪大医学部を卒業して1年半、救急部と麻酔科でトレーニングを受けたので、その時の経験が大いに役立っています。

 さて、どんな講義をしようか、と思ったのですが、三重大で教えていた時と同じようなやり方でやることにしました。それは、講義の最初に、学生さんに問題を解いてもらい(“プレテスト”と言う手法です)、その後で、その問題を中心に解説するというやり方です。教科書を見てもいいし、人と相談をしてもいいので、とにかく、自分なりの答えを書いてもらいます。こうすることによって、学生さんの学習への興味が高まることを期待しています。教科書に書かれていることを順番に説明していくと、まず、ほとんどの学生さんが眠ってしまいますからね。

 それから、学生による授業アンケートを毎回とることにしました。これも、私が三重大時代から実行していたことです。今では、学生による授業評価は、多くの大学で行われるようになりましたが、毎回、学生から評価を受けるというのは、それほど多くないかもしれませんね。半年に1回しかアンケートをとっていない大学も多いと思いますが、そのやり方では講義を聴いている学生さんに対して授業を改善した結果を還元できず、「PDCA」を“顧客”に対して回したことにならないと思います。

 また、アンケートは無記名でとることにしています。無記名でないと本音が書きにくいですからね。アンケートは「わかりやすさ」「ねむたさ」「熱意」「総合点」という4つの項目に1~5点をつけてもらうことに加えて、自由記載欄を設けてあります。そして、評価結果は、すべて学生に公開して、フィードバックします。

 果たして、三重大でやっていた講義の方式が鈴大の学生にも受け入れられたのでしょうか?そして、PDCAをうまく回すことができたのでしょうか?

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 1~2回目のアンケートでは、「黒板の字が見にくい。」「プレテストが手持ち無沙汰」、「時間がルーズ」「後方の人がうるさいので注意してほしい。」「生きる上で知っておいて役に立つことを勉強したいです。」「スライドが早い。」「もっと細かく解説してほしい」「救急医療のビデオが見たいです。」など、たくさんの改善するべきご意見をいただきました。

 この学生さんのたくさんのご意見に対して、次はどう改善しますとか、これについては要望に答えられませんとか、一つひとつ回答し、改めるべき点は改めて3回目、4回目の講義に臨みました。その結果をグラフでお示しします。(資料.pdf)

 たとえば総合点をみていただくと、1~2回目が3.6~3.8だったものが、3~4回目には4点前後に上がり、学生さんから頂いた要望に応えた結果がちゃんと数字に反映されましたよ。ただし、「眠たさ」については、依然として改善していませんけどね。「3限目は昼食後で眠たいので、先生の講義は良いのだが、講義の良し悪しと関係なく低い点をつけている。」という注釈をわざわざ書いてくれた学生さんもいます。なかなか解決の難しい問題ですね。

 ところで、無記名のアンケートをとると、授業と関係のない質問や、ふざけていると感じられる質問をいただくことがままあります。無視してもいいのですが、時間がある時には “くだらない”と感じられる質問も含めて、できるだけ答えることにしています。そのいくつかをご紹介しましょう。

「先生の座右の銘を教えてください。ちなみに僕は“あきらめたら負け”です。 」
「好きなプロ野球チームはどこですか?あと選手も教えてください。 」
「先生と奥さんのなれそめを教えてください。(言わなければ言わなくて可)」
「先生はどんな女性がタイプですか? 」

私がどのように回答をしたのかは、次のブログのお楽しみです。