最近のテレビ番組、特にバラエティー番組にはくだらないものが多いと感じており、私が見るのはNHKか、民放では報道番組や一部の質の高い番組に限られています。「世界ふしぎ発見」はよく見ますけどね。

　高校の同級会が4月11日（土）に熱海であったのですが、東大医学部を卒業した同級生が、最近のテレビ番組はつまらないものが多く、ほとんどNHKしか見ないと言っていたので、私と同じだなあと思って聞いていました。ところが、東大医学部に入った彼の息子は、民放の番組ばかり見ており、彼にはいったい何がおもしろいのか全く理解できないという。私どもが“くだらない”と感じるバラエティー番組も、ちゃんと見ている人がいて視聴率が高いので、各放送局がしのぎを削って作り続けているんですね。

　ところで、ブログの読者の皆さんは“視聴質”（しちょうしつ）という言葉をご存じでしょうか？“視聴率”はよく聞く言葉ですが、“視聴質”というのはあまり聞きませんね。しかし、グーグルで検索すると40万件もヒットしましたし、ウィキペディアでも以下のように説明がしてありました。

　「視聴質（しちょうしつ）とは、テレビ番組の質、視聴者の質、視聴の質などを測る尺度として実現が期待されているもの。2003年の日本テレビの視聴率買収事件以降、それまでの視聴率への疑問のたかまりと共に注目を集めた。しかし何をもって質と定義するか、という点で合意が難しく、古くから検討されているものの業界標準の指標としては実現していない。放送局別ではそれぞれ独自の調査を数多く行っている。」

　実は、この“視聴質”の標準となりうる指標を考案して、テレビ局に活用していただこうという三重大学発のベンチャーが立ち上がったんです。発案者は三重大人文学部教授の児玉克哉さんです。児玉さんは、この4月から三重大の広報担当の学長補佐をおつとめで、テレビでは報道番組のレギュラー出演や選挙番組での解説者や司会者として活躍され、まさに三重大の広告塔というべき先生ですね。児玉さんの質の高いブログ（http://blog.livedoor.jp/cdim/）は有名です。

　ベンチャーの名前は「（株）クオリティーリサーチ」。代表取締役社長は若干26歳の女性、坂 紀美子さんです。現在、視聴率調査については「（株）ビデオリサーチ」1社が独占していますが、それに、違う視点から切り込んでいこうというチャレンジですね。

　（株）クオリティーリサーチは、児玉さんがかねてよりテレビ番組を視聴率という「量」のみで評価することに疑問をもち、「質」で評価するクオリティー指数という新しい評価手法を考案したことに着目し、児玉さんと共同研究を行って事業化をめざしてきました。そして、いかに信頼できるモニターを確保できるかどうかが、成功するかどうかのポイントと考えました。

　事業化を目指す過程で、全国テレビ局とのネットワークを持つフィークジャパン（株）と知り合い、調査に必要なWEB調査システムの開発、運営などについては（株）パソニアの協力を取り付けて、三社の連携を組みました。すでに、フィークジャパン（株）のネットワークにより、東海地区の一部ケーブルテレビでの試験導入を果たし、調査に欠かせない信頼できるモニターを約1000名確保し、事業化にこぎつけました。

　そして、4月21日（火）に、名古屋駅近くのレストランで、この事業が中部経済産業局から「新連携」（中小企業新事業活動促進法の異分野連携新事業分野開拓）に認定され、国からの支援を受けることになったことを記念して「キックオフ会」が開かれました。連携する企業は、「（株）クオリティーリサーチ」がコアとなり、「フィークジャパン株式会社」と「（株）パソニア」の3社で、事業テーマは「多面的・質的新評価システムによるテレビ番組内容等調査」です。東海地区の報道機関や企業関係者とともに、三重大からは学長の内田淳正さんや、研究担当理事の鈴木宏治さんもかけつけました。

　ところで、（株）クオリティーリサーチの代表取締役社長の坂 紀美子さんは、実は三重県亀山市の南野町にお住いで、私のご近所さんだったことがわかりました。私の姉の紀美子が“豊田クリニック”という診療所を南野町で開いているのですが、ご家族はそこの常連さんで、また、彼女の名前が姉とまったく同じとは。そして、彼女は三重大病院で出生したということなので、当時三重大の産婦人科で医者をやっていた私がかかわったかも。人と人とはどこかでつながっているんですね。

　ひょっとしたら世の中を大きく変えるかもしれないこの意欲的な事業が成功して、日本全体のテレビ番組の質が良くなれば、ほんとうにすばらしいと思います。坂 紀美子さんに心からエールをおくります。“フレー、フレー、紀美子さん！フレー、フレー、クオリティーリサーチ！”