- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

学長さんのすべてが凝縮されている国大協総会で退任の挨拶
~任期の終わった時に、"私は○○をやった"と言えることが大切~

 今日3月4日(水)は社団法人国立大学協会(国大協)の第15回通常総会が学士会館でありました。国大協というのは、全国に86ある国立大学の学長さんの集まりなんですね。国大協の事務局は東京の千代田区一ツ橋の学術総合センターのビルの中にあり、その斜め向かいに学士会館があるんです。学士会館は東京大学発祥の地に立っており、建物は登録文化財に指定されているなかなかレトロなホテルですよ。

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受付にて

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国大協第15回通常総会

   この日の国大協の中心議題は、現在の会長である東大総長の小宮山宏さんの後任を選ぶことで、総会と同時に理事会も開催され、その結果、東大総長の濱田純一さんが会長に選ばれました。濱田さんのご専門は、情報に関する法律です。実は私の高校の1年先輩にあたるんですよ。

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 右:次期国大協会長・東大総長 濱田純一さん

  さて、総会の議事が終わったあと、この3月で退任する学長さんの挨拶がありました。86人の学長のうち16人が退任ということで、北の大学から南の大学へ順番に挨拶していきます。こういう退任の挨拶というのは、年度末の今、日本中いたるところで行われていると思いますが、星新一のショートショートではありませんが、非常に短い文章で、任期中に自分がやったことや感じたことのポイントをしゃべる必要があり、けっこう難しいんですよね。でも、学長さんともなると、さすがにすべてを凝縮した挨拶をされますね。

 私は、2004年の国立大学法人化の年から5年間の任期中にやった2つのことをしゃべることにしました。一つは大学病院経営のこと、もう一つは地方大学のことです。

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   まず、この5年間、国大協の“病院経営小委員会”の委員長として国立大学病院の経営問題に取り組んだこと。そして、国立大学病院に対して「なぜ私学の大学病院が黒字で経営しているのに国立大学病院ができないんだ!」という批判に対して反論するために、データにもとづいて主張することの大切さを痛感し、全国の国立大学病院のアンケート調査を毎年行い、また、紆余曲折の上国立大学附属病院長会議のもとに国立大学病院の“データベースセンター”ができたこと。この経緯は「経営改善係数撤廃への長い道のり」(pdf)という一文に書いたので、ぜひ読んでいただきたいこと。

 次に地方大学の問題については、平成19年に地方大学予算を半減させるという財政政度等審議会の試算に対して緊急記者会見を行ったこと。そして、三重県知事や津市長がすぐに行動をおこされ、全国知事会の反対決議にまで至ったこと。この時に痛感したのは“地方大学の存続が危機に陥った時に助けてくれるのは地域の皆さんだけである”ということ。

 そして、地域の皆さんのご理解を得るためには、組織のトップとしての学長自らの情報発信が大切であり、その一つの手段として私はブログを書き始めたこと。ブログはけっこう好評を得ており、会場の皆さんにも読んでいただければ、すぐに10万アクセスを達成すること。(笑)

ということで、このブログの宣伝もちゃっかりしましたよ。

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 新しい年度から新しい任務や職場につかれる皆さんには 、一区切りがついた時に、“私は○○をやった”と皆さんの前で挨拶ができるように、ぜひ、与えられた仕事に全力を投じていただきたいと思います。

 国大協での5年間の活動の中で、“病院経営小員会”の親委員会である“経営支援委員会”の歴代委員長である東北大学前学長の吉本高志さん、熊本大学長の崎元達郎さん、群馬大学長の鈴木守さんには、同じ気持ちで戦った同志として心から感謝をしています。また、5年間ほんとうにご世話になった国大協事務局のみなさんには、心から御礼申し上げます。とりわけ、国大協元常務理事で、現在国大協サービス社長の諸橋輝夫さんには、いつも励ましていただきました。ふだんは辛口の諸橋さんに褒められるというのは、信じていいのではないかと思っており、素直にうれしく感じているところです。

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中央:熊本大学長 崎元達郎さん

右:東京海洋大学長 高井陸雄さん