- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

天下の東大でも、雨漏りがする廃屋のような部屋で研究をしているとは・・・

 3月2日(月)は東京出張。 “今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議”という長い名前の会議に委員として出席するためなんです。この会議は、国立大学法人などの施設について、2011年度以降の中長期的な整備のあり方を検討する公開の会議で、学識者ら14人の委員からなり、主査は大学評価・学位授与機構長の木村孟さん、副主査は一橋大学長の杉山武彦さんです。

 2月3日が1回目の会議で、この日が2回目の会議になります。私が、この会議の委員に選ばれた理由は、特に大学病院の施設整備についての有識者ということのようです。今までのブログでも書きましたように、大学病院の経営問題についていろんなことを文科省にけっこうズケズケと言ってきたんですけど、逆に、そんなところを見込まれたのかも。

tokyou01S.jpg  朝5時半起きで、亀山から6時03分のJRの普通電車で名古屋に向かい、のぞみで東京へ。10時から会議が開かれる東京大学(本郷キャンパス)の図書館へ向かいました。電車に乗っている間は、ほとんどずーっとコンピュータに向かっているんですよ。のぞみをケータイで予約する時も、コンセントが使える可能性の高い一番前か後ろの席をとるようにしています。

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 この日の会議では、今後、議論をする上で参考となる具体例として、東大のさまざまな課題について説明を受け、午後から東大の施設を見学しました。

 見学は、まず2005年に完成した医学部研究棟へ。研究室は十分なスペースが確保でき、研究者の方々も満足しておられるようでした。次が、2006年に完成した病院診療棟で、救急と新生児集中治療室(NICU)を見せていただきました。妊婦さんのたらい回しが報道されて、今、NICUのいっそうの整備が求められているのは皆さんもご存じだと思うんですが、もうすでに手狭になっていましたね。

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 最後が工学部3号館で、これは昭和14年に建てられた建物で、廊下も研究室も狭く、外壁にひびが入り、天井には雨漏りのあとがついていました。地下の研究室は、冷暖房も効かずに、窓もしまらないので開けっ放しになっている廃屋のようなところでした。これでは、研究者の意欲も削がれて、研究の能率も十分にはあがりませんね。

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 天下の東大でも、雨漏りがする廃屋のような部屋で研究をしているとは、ちょっとびっくりしました。東大は他大学に比べると恵まれている大学ですが、それでも、各建物が25年後に改修、50年後に改築が必要であると仮定して必要な予算を計算すると、現状では全然予算が足りないとのことでした。東大でもこうなのですから、東大以外の地方大学も含めると、まだまだ改修・改築のための予算が要ると思います。10年ほど前に一時期予算をつけていただいて、国立大学のひどい建物の状態がある程度改善されたのですが、法人化前後からはかなり予算が削られ、このまま予算が削られ続けると、日本の高等教育や科学技術がいったいどうなるのか、たいへん不安ですね。

 もう一つ、東大の本郷キャンパスを歩くと、戦前に建てられた趣のある建物がたくさんあり、さすがに歴史を感じました。改築をするにしても、このような歴史的な建物の外観だけでもなんとか残してほしいと思いますね。古い建物をまたぐ形で、その直ぐ上に近代的なビルが建設されている校舎もあり、東大も歴史的な建物を残す努力をしていることがわかります。安田講堂の入口の柱の傷跡は、40年前の学園紛争の時のままとのことですが、これは、意図的に修理をせずに残してあるんですかね?

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 最後におまけです。文科省の担当官の方が、私があちこち写真をとっているのを見て、「ブログに書くんですか?」とおっしゃっていました。文科省の皆さん、ブログを読んでいただいてありがとう。