- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

心から祝福される叙勲者とは?
~伊豆津公作三重大名誉教授の叙勲祝賀会にて~

 昨秋の叙勲で、三重大名誉教授の伊豆津公作さんが「瑞宝中綬章」を受章され、2月15日(日)の病理学教室同門会主催の祝賀会に招かれました。医学部長の駒田美弘さん、病院長の内田敦正さんも来賓として出席され、いつものように、学長、医学部長の祝辞、病院長の乾杯と続きます。前学長の矢谷隆一さんは、病理学教室の一員として、閉会のあいさつをされました。

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 伊豆津さんは、78歳というお年を感じさせない元気なお姿で、また、奥様もお元気そうで、なによりと思いました。伊豆津さんは、38年間三重大の病理学教室で教育と研究を続けられ、この間に医学部長を務められました。その後、三重大と連携協定を結んでいる鈴医療科学大学でも教鞭をとられ、今は、週2回榊原温泉病院にて病理診断をしておられます。

 私事としては、9歳年上の姉(外科医)が医学生時代に伊豆津さんに教えていただきましたし、私も三重大の産婦人科にいた時にたいへんお世話になりました。

 瑞宝章は「国および地方公共団体の公務または次の各号に掲げる公共的な業務に長年にわたり従事して苦労を積み重ね、成績を挙げた者を表彰する場合に授与するもの」に与えられます。「次の各号」の最初は「学校において教育または研究に直接携わる業務」で、伊豆津さんは、これに該当しますね。これ以外の業務としては、社会福祉、医療または保健指導、調停委員、民生委員などがあげられ、また、著しく危険性の高い業務や著しく労苦の多い環境における業務、人目につきにくい分野における業務があげられているんです。

 叙勲の条件には年齢もあって、多くの場合70歳以上でないといただけません。ということは、長生きをしないと勲章がもらえないということですね。伊豆津さんに健康の秘けつをお聞きすると、特別にやっていることはないが、毎日忙しくしているとのことでした。78歳になっても、専門家としてのお仕事を続けておられることは素晴らしいことで、これが長生きの秘訣の一つだと思いました。

jokun03.jpg jokun06.jpg  さて、叙勲に対しては以前から批判的な意見もあり、辞退する人もおられますね。たとえば「業績より地位や肩書きが重視される」「中央省庁推薦という不透明な選考システム」「民より官優位」「人に等級をつけることになる」などたくさんの意見があります。このようなこともあって、平成15年に見直しがなされ、それまで勲1等、2等、3等などと言われていたものが、数字が使われないようになり、また一般の人も推薦できるようになりましたね。

 伊豆津さんの叙勲に際しては、医学部長というご経歴も評価されたと思いますが、「公共的な業務に長年にわたり従事して苦労を積み重ね、成績を挙げた」という、瑞宝章の趣旨にまさにぴったりの先生であると思います。伊豆津さんのように、肩書きだけではなく、みんなが心から祝福する気持ちになるような叙勲者ばかりであれば、叙勲に対する批判も出てこないのではないかと思いました。

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 ところで、この写真は伊豆津さんの勲章ですが、なかなかきれいですね。皆さんはこれがどこで造られているか知っていますか?実は、独立行政法人“造幣局”なんですね。熟練した匠(たくみ)による精巧な金型技術と、独自の七宝(しっぽう)技術のなせる技とされています。

 この表彰状のようなものは「勲記」といいます。よくみると「内閣総理大臣麻生太郎」の左横に、「内閣府賞勲局長福下雄二」という名前が見えますね。実は、福下さんは、私の高校の同級生なんです。この写真は、今年の1月の15日に、賞勲局長室を訪問した時に撮った写真なんですよ。伊豆津先生の勲記に、私の高校の同級生の名前が入っているなんて、いろんなところで人と人がつながっていることを感じます。

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