- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

中国の人々の温かい心が日本の先生を引きつける
~河南師範大学でのすばらしい出会い(その1)~

 9月、10月、11月と続いてきた中国シリーズもこれで4回目です。今回は、河南省の新郷市にある河南師範大学でのすばらしい出会いについてお話しましょう。

 12月14日、教育学部の松岡守先生と朝9時の飛行機で中部空港から上海浦東空港へ、虹橋空港まで車で移動し、国内線で鄭州空港へ着いたのが夕方の5時。鄭州空港には、国際交流センター長の李秋発さん、そして日本語学科主任の劉徳潤先生とその娘さんの淙淙さんの出迎えを受けました。(写真をクリックすると拡大します。) 

08121901.jpg  河南省は中国のほぼ中ほどにあって、大部分が黄河の南側にあり、その人口は中国最多の約1億人です。また安陽、洛陽、開封といった古都がたくさんあり、黄河文明が発祥した地と言ってよいでしょう。黄河の南に位置する省都である鄭州市(人口約700万人)から、車で高速道路を北に走り、途中黄河を渡って、約1時間で新郷市(人口約500万人)に着きました。

 翌朝、天気は良く穏やかな日だったので、まず、キャンパス内を歩いて案内していただきました。学生数約3万人、学部が30もある総合大学であり、新キャンパスを増設した広大なキャンパスには、他の中国の大学と同じように新しいビルディングもたくさん建っています。ただ、建物の中には「逸夫」という人の名前が付けられている建物がいくつかあり、それは香港芸能界の実力者邵逸夫(ランラン・ショウ)氏の寄付によるものでした。ちなみに、邵氏には政府から2007年の「中華慈善賞 終身成就賞」が授与されています。米国でも大富豪が大学に寄付するケースが多々あり、建物に人の名前がついている場合が多いですが、日本では少ないですね。うらやましい限りです。

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 キャンパス内の公園で目に入ってきたのは、学生たちが歩きながら教科書を手にして、勉強している姿でした。中国の大学生は、ほんとうによく勉強します。全寮制で、朝早くから夜遅くまで、毎日、一生懸命勉強しているのです。日本の大学生にぜひ見ていただきたい姿ですね。

08121902.jpg  しばらくすると、授業が終わったのか、たくさんの学生さんが戸外にでてきました。偶然、三重県から来ている外国語学院の教員、高尾眞さんと出会いました。この前まで松阪工業高校の校長先生をしておられ、退職を機に3か月前から河南師範大学で日本語を教えておられるとのことでした。いっしょにいた学生さんに話かけると流暢な日本語で返事が返ってきました。もう一人三重県からの先生がおられるとのことで、昼食の時にお声をかけてほしいと国際交流センターの方にお願いをしたところ、さっそくアレンジをしていただきました。

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 10時半からの調印式では、学長の焦留成さんが挨拶され、三重大と河南師範大とは、17年間の交流があること、1992年には元教育学部長の作野史郎さん(現鈴鹿医療科学大学長)に来ていただいたこと、2005年に前教育学部長の丹保健一さんと学部間協定を締結したこと、現在毎年、三重大に交換留学生を送っていること、今回、学部間協定を大学間協定に格上げすることによって、両大学の交流を次のステージへレベルアップしたいこと、などをお話になりました。

08121903.jpg  私の挨拶では、今、日本の政府が留学生30万人計画を進めており、三重大も協定校との間でダブルディグリー制度を始めたこと、自力で留学生宿舎を建設していることなどをお話しました。また、キャンパス内で出会った日本語コースの学生さんの日本語のレベルが高いことをご報告しました。

 キャンパス内のホテルでの昼食会には、三重県教育委員会から派遣されている県立いなべ総合学園高校教諭の大井一郎さんも加わりました。三重県教育委員会との交流事業は20年前から続いているとのことで、大井さんは1年以上ここで教鞭をとっておられます。高尾さんは、以前にここで教鞭をとった時の中国の方々の温かい心を忘れることができず、今回校長退職を機に自ら希望されてこの大学に就職されたとのことでした。お二人とも、大学にはたいへんよくしていただいており、また、学生もまじめで純朴であり、中国の人々の温かい心を感じるので、ここが大好きであるとおっしゃっていました。

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 今までの中国に関するさまざまな報道により、中国人が信じられなくなっている日本人が増えているのではないかと感じますが、このブログでは、日本の方々に、中国には心の温かい人々がたくさんいるということをお伝えしたいと思います。日本でも、ますます巧緻になっている振り込め詐欺、宅配人を装った殺人事件、あい変わらず続く食品偽装事件など、日本人が日本人を信じられなくなる事件が多発していますね。今回の訪問では、テレビや新聞の報道だけで、その国の人々を色眼鏡で見ることがたいへん危険であることを改めて感じさせられました。