- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

梅林先生のボランティア「遺伝志」が三重大生の心に伝わる
~三重大学長特別表彰第1号の記念講演にて~

 12月2日の午後、外務大臣表彰をお受けになった三重大学名誉教授梅林正直先生の学長特別表彰ならびに記念講演会が講堂小ホールにて行われました。梅林先生については8月8日のブログでもご紹介しましたね。梅林先生が教鞭をとっておられた生物資源学部の学生さんをはじめ、大学の教職員や学外の方々が大勢参加されたのであふれんばかりの超満席となり、臨時にたくさんの椅子を運び入れました。

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 「学長特別表彰」は法人化後三重大学において新たに規定を整備させていただいたもので、対象者は「社会活動等における功績が特に顕著であり、本学の名誉を高めたと認められる者」となっています。梅林先生は、その記念すべき第1号の対象者として、表彰させていただくことになりました。梅林先生が長年タイ北部山岳地域で植樹ボランティア活動に従事され、外部大臣表彰を受けられたことが授賞理由ですが、このご功績は誰が見ても学長特別表彰の第1号に値するものとご納得されると思います。

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 さて、この日のご講演のタイトルは「独りぼっちの木の根運動―NG:OのないNGO―」というものでした。NGOというとNon-Governmental Organizationsの略で「非政府組織」という意味ですね。しかし、梅林先生は、独りぼっちで活動を続けておられたのでOrganization(組織)とは言えないということで、OのないNGOという表現をされました。独りぼっちで活動された理由は、タイ北部山岳地域は、麻薬のアヘンの原料となるケシが栽培されていた危険な地域なので、自分以外の人を危険な目に合わせることはできないという信念からです。

 梅林先生が毎年2回3か月ずつチェンマイに滞在して、12年間以上をかけてタイ北部山岳地帯に植えた樹の数は、実に梅が22000本、マナオ13,900本になります。梅林先生は今日は“漫談”です、と謙遜して挨拶をされましたが、この日のお話は、先生のボランティア活動に対するしっかりとした哲学と、そして、ほんとうにたいへんな現場を撮ったビデオ映像は、聴衆に大きな感動を与えたと思います。

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 ボランティアとは“義勇兵・志願兵!”であり、“自由意思・自由参加により無償で、社会活動・国際協力をやること!” “自分のお金と頭と身体を使って、現地に赴き汗を出してハタラクこと!”“ハタラク”とは、ハタの者をラクにすること、というのが、梅林先生の信念です。

 ビデオ映像は数年前に2つのテレビ局で放映されたものでしたが、実は放映されなかった映像も見せていただきました。それはひどくぬかるんだ狭い山道で車がどうしてもうごかなくなって、車をおいて村まで歩いていかれた時の映像だったのですが、梅林先生の活動が、並大抵の活動ではないことがわかりました。

 今回のご講演で、先生のボランティアの「遺伝志」は、三重大生の心にしっかりと伝わったと思います。梅林先生は三重大で教鞭をとっておられたOBなのですが、このボランティア活動については、他大学でご講演をしておられるのですが、三重大では初めてのことで、今まで、たいへんもったいないことをしてしまったと思っています。三重大の学生さんに対して、次のお話の機会があることを期待しています。

 75歳というお歳のこともあり、ぜひ、お体にも気をつけられて、引き続きがんばっていただきたいと思います。