- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

子供たちをサイエンスショーに誘導する工夫とは?
~青少年のための科学の祭典にて~

 11月29(土)30日(日)の二日間、三重大学講堂で「青少年のための科学の祭典、三重大学大会」が開かれました。科学の祭典は平成4年に日本で初めて開催され、今では全国で開催されていますが、三重県では今年で10年目を迎え、亀山大会、紀北大会、名張大会、三重大学大会の4か所で行われています。

 三重大学大会では一昨年までは、子供たちにいろいろな実験や工作を体験していただく「ブース」タイプだけだったのですが、昨年から大ホールのステージを使って、中部電力さんと共催で、楽しい「サイエンスショー」を始めました。今年も福井県の月僧さん、神奈川県の長嶋さんという全国的に有名な先生方や、県内の意欲のある先生がた、中部電力のみなさんに参加していただきました。しかし、昨年は、子供たちの大ホールへの誘導がうまくいかず、せっかく工夫を凝らした楽しいショーを準備していただいたのに、期待したほど子供たちが集まらなかったのです。

 そこで、今年は、子供たちをサイエンスショーへ誘導するために、教育学部教授で事務局担当の後藤太一郎さんをはじめ、実行委員会の皆さんにいろいろと工夫をしていただきました。いったいどんな工夫だったのでしょうか?

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 サイエンスショーの存在を知っていただくために、ポスターを別に作って各学校に配布したとか、昨年は大ホールの入口近くのブースがじゃまをして入りにくかったのを改善したとか、サイエンスショーの掲示をわかりやすくしたとか、ショーの始まる前に繰り返しアナウンスしたとか、などの工夫は誰でも考えつきますね。

 実は、サイエンスショーを見た子供たちだけに綿あめつくりの引換券を渡すことにしたのです。はたして、この効果はどうだったのでしょうか?

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 今回、私もサイエンスショーの合間に、ステージに上がって10分間の挨拶の時間をいただきました。私の出番の直前のショーは、生物資源学部教授の寺西さんでした。寺西さんは以前のブログでもご紹介したように、今年ノーベル賞をもらった下村脩(おさむ)先生と共同研究をしている先生で、ホタルイカが光るメカニズムを研究しておられます。寺西さんは、液体窒素でとっても楽しいショーをされました。多くの子供たちが、喜々としてステージに上がって液体窒素の実験をしたり、液体窒素に触れたりしました。

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 私の挨拶では下村先生がノーベル賞をもらったオワンクラゲの蛍光たんぱくを発光させるデモを寺西さんに手伝ってもらって行いました。そして、子供たちに「ノーベル賞をもらうためにはどうすればいいですか?」と質問したら、「誰もできないような発明や発見をすること。」という答えが帰ってきたので、「そう、その通りですね。」と答え、「そのために大切な最初の一歩は、“なぜかな?”という疑問を投げかけること。そして、この科学の祭典に参加していただいた皆さんには、たくさんの“なぜかな?”をお家に持って帰って下さいね。」と挨拶しました。

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 挨拶が終わって、フロアにおりると、さっそく子供たちから、綿あめの引換券をくださいと言われ、綿あめの効果を実感しました。綿あめで子供たちを釣るなんて、本質的ではないと思われる人もいるかもしれませんが、とにかくサイエンスショーを一度見ていただかないことには、その楽しさをわかっていただけないので、あくまで最初の誘導のためという目的です。

 一方ブースの方も、楽しい科学実験や工作が、熱心な大学の先生方、小中学校の先生方、博物館の皆さん、中電などの企業の皆さんによって33個も準備され、一日中子供たちで大賑わいでした。特に、中学や高校の生徒さん自身がブースを担当され、子供たちに教えていただくことは、そのこと自体がとっても素晴らしい教育になっていると思いました。

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 入場者数は2583名(1日目1059名、2日目1524名)、出展関係者は2日間の延べ数が420名ほどですので、総参加者は3000名ほどになります。この数 は、昨年より300名ほど多いものでした。この素晴らしい取り組みの実現のためにご寄付をいただいた皆さん、ボランティア的に参加していただいている熱心な先生方、学生さん、企業のみなさん、スタッフのみなさんに心から感謝いたします。