- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

江蘇大学、南京工業大学、安徽農業大学訪問記(その2)
~型どおりでない挨拶をする苦労話~

08102301.jpg  翌日の21日は江蘇大学内で三大学ジョイントセミナーの開会式に参加しました。江蘇大学は4年半前に訪問しているのですが、当時なかった新しいビルがいくつも建ち、さらに、建設中の建物もあり、中国の大学の成長の激しさをあらためて感じさせられました。

 開会式では江蘇大学トップの范明(ファン・ミン)さんの 挨拶の後、私も含めて各大学の代表者など9人が挨拶を する予定で、あらかじめ英語の原稿を持参しました。日本ではほとんど原稿は用意しないのですが、海外ではとっさに適切な英語が頭に浮かんでこないことがあるので原稿を用意することにしています。   このような式典では、型どおりの挨拶がえんえんと続くので、聞いている方も苦痛を感じることが多いですね。今回いっしょに同行した花見槇子さん(三重大国際交流センター教授・副センター長)たち女性陣から、「ぜひ海外の皆さんの心を動かすような豊田学長ならではの挨拶を期待していますよ。」と言われていたので、どうしたものかと考えていました。

 “原稿をそのまま読めば型どおりの挨拶になるし、さりとて、儀礼的な言葉も省略することもできないいし、3分間という制限時間では一言二言しか付け加えられないし・・・。そうだ、今、世界に大きな影響を与えている金融危機を話題にして、それを何とか3大学ジョイントセミナーと関連づけられないだろうか?でも、ちょっと無理なこじつけなので、やめておこうか?”

 そんなことを考えているうちに私の名前が紹介されたので、壇上に上がってとりあえず用意した原稿を読み始めました。聴衆の方をちらちらと見ると、みなさんの眠たそうな顔が目に入ってきました。中には目をつむっている人もいます。実は、壇上に立っていると、このような聴衆の反応はよくわかるものなんです。 08102302.jpg   “やっぱり、このまま終わるわけにはいかない。聴衆にうけるかうけないかわからないが、思いついたことを言ってみよう。”そう決心をし、目を原稿から聴衆へ移して、英語が正しいかどうかなんて気にせずに

“Globalization has bad aspects and good aspects.  A bad example is the financial and economical crisis in the world at the present time, caused by the casino-type finance or investment originated from subprime loan problem in the USA.  A good example is this Tri-University International Seminar and Symposium!!  We should make all the efforts for eternal continuation of this wonderful symposium.”

と、手ぶりも加えてしゃべりました。すると、一言二言目で、目をつぶっていた人が目をあけはじめ、うんうんとうなずく人も出始めました。そして、「グローバル化の良い例が、この三大学ジョイントセミナーだ。」と言ったところで話の途中なのに大きな拍手が起こりました。これで、わが女性陣の期待になんとか答えられたのではないかと、ほっとしました。

 たいしたことは言っていないのですが、たぶん、三大学ジョイントセミナーとは関係のない、しかし、今世界中の人々の大きな関心事である金融危機の話を持ち出したことで聴衆が“あれっ”と思ったところで、今回集まった方々の共通の価値観である三大学ジョイントセミナーの素晴らしさを、金融危機と対比する形で強調したことがうけたのではないかと自分ながらに分析しています。

0810234.jpg   0810235.jpg  

 

 開会式が終わると、情報・国際交流担当副学長の小林英雄さん、生物資源学部教授の江原宏さん、王秀崙さんといっしょに、次の訪問先の南京工業大学へ車で向かいました。出発前に撮った写真をいくつか紹介しますが、中国の大学は門が立派ですね。それにくらべると三重大の正門は見劣りがするので、なんとか考えないといけないと思いました。 (つづく)

081023.JPG