- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

バランスのすすめ(その1)
~男女共同参画講演会から三重大学全学同窓会設立総会へ~

 先週の土曜日(10月4日)は忙しい一日でした。

 今年、三重大を中心として県内の教育・研究機関といっしょに科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成事業」の支援を受けることとなり、その事業の一環として、午後1時頃から三重県総合文化センターで講演会が開かれました。講師は(独)科学技術振興機構・社会技術研究開発センター長の有本建男さんで、「男女共同参画とイノベーション」というテーマでした。

dannjyo1.JPG  講演に先立ち、私は、男女共同参画は女性のためだけでなく男性のためでもあり、日本の研究者の“バランス”が男性に大きく偏り、女性の能力を生かしていないことは、たいへんもったいないと挨拶しました。

 有本さんは、データにもとづき、このまま科学技術予算が増えず、大学改革が進まなければ、日本の科学技術が危機的状況になること、人口が減少している我が国は、優秀な研究者の確保が緊急の課題であり、極端に少ないわが国の女性研究者を大至急増やす必要があること、そのためには、女性研究者を積極的に採用する「ポジティブ・アクション」が不可欠であることを話されました。

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  有本さんのお話は、たいへん迫力のあるもので、最後までお聞きしたかったのですが、次の三重大学全学同窓会設立総会に出席するために、お話の途中で後ろ髪を引かれる思いで大学へ戻りました。学長という仕事がら、このようなダブルブッキングはしょっちゅうのことで、ときどきトリプルブッキングもあります。

 三重大の卒業生である元厚生労働大臣坂口力衆議院議員と前学長の矢谷隆一先生を学長室でお迎し、会場の講堂大ホールへご案内しました。ご両人は昭和35年三重県立大学医学部卒の同級生です。

dousoukai1.JPG  設立総会は副学長で理事の東晋次さんの司会で始まり、部局等同窓会連絡協議会の代表で工学部教授の飯田和生さんが経緯を話されたあと、私が挨拶をしました。法人化後の地方大学は厳しい環境となり、全学として諸問題に対応する必要があること、そして、同窓会も、各学部同窓会がばらばらではなく、全学同窓会として活動することによりネットワーク機能が高まることをお話しました。たとえば、地域ごとや海外(例えば中国)での同窓会の組織化がやりやすくなります。

 続いて坂口さんが、異なる学部の皆さんがコミュニケーションをとれる全学同窓会ができることはたいへん素晴らしいと挨拶されました。 dousoukai6.JPG dousoukai5.JPG  議事は農学部(現生物資源学部)卒業で前菰野町長の服部忠行さんのみごとな司会のもとに進められ、「三重大学同窓会会則」、「三重大学同窓会プライバシーポリシー」そして、役員案が承認されました。会長には前学長の矢谷さんが就任されました。

 矢谷さんの会長としてのご挨拶では、学長時代に地方大学に大きなできごとが2つあったこと、1つは、地方大学の存続が危うくなる法人化を、多くの地方大学の学長たちが反対したが、結局受け入れざるをえなかったこと、次は旧帝大をはじめとする一部の上位校だけしか予算措置を伴う大学院重点化が認められず、それ以外の大学は後に泣く泣く名前だけを「学部」から「大学院」にしたことを話されました。

  dousoukai4.JPG ご挨拶には、地方大学は上位校に追いつけ追い越せとがんばってきたのに、最初から格差がある上に大学院重点化政策によって格差が拡大し、そして、法人化後、評価にもとづいて、さらに格差がつけられようとしている政策に対する悔しさがにじみ出ていました。

(つづく)