- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

天津師範大学50周年記念大会で感じたグローバル化の波と中国の力(3)
~中国ふうの記念式典と世界の11大学間交流確認書のサイン式~

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   前回のブログでは9月7日の朝、新キャンパスに造られた「桜庭園」での植樹式についてお話しましたね。前回、新キャンパスの入口の門の写真を掲げるのを忘れましたので、今日のブログで掲げておきます。

 

S_Ten2.jpg    さて、植樹式が終わった後、50周年式典に参加するために、コンサートホールへ向かいました。ホールの前につくと、チアガールの皆さんの出迎えをうけました。なかなか健康的で華やかなチアでしたよ。三重大学でもチアガールの皆さんが活動していることについては、昨年の11月20日にご紹介しましたね。

   このホールの正面の壁には「音楽廰」とよく似た字が掲げられています。“よく似た字“と言いましたのは、写真をよく見ていただくと「廰」の字が少し違っていて、「广」(まだれ)ではなく「厂」(がんだれ)になっています。でも、私のワープロでは「厂」の中に「聴」を書く字は出てこないので、このブログではとりあえず「廰」と書かせていただいた次第です。字の意味は「庁」と同じで、建物という意味ですね。

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S_Ten5.jpg   私も含めて外国の大学からの来賓以外は、天津師範大学の同窓生で満席となりました。それほど大きなホールではないので、この日に会場に入れた同窓生は、それなりの方々ばかりであったと想像されます。ステージには、横一列に席が設けられ、天津市の副市長さん(下の写真の挨拶をしている女性の方)のように同窓生の中でも社会的に名をなした有力な方々がずらりと着席されました。そして、高学長が向かって右端に着席し、李公務委員会主任が左端に着席され、挨拶はステージの左端におかれた演壇で行われました。日本の大学では、ステージの中央に演壇が置かれて、左右に大学関係者と来賓が分かれて座る場合が多いと思います。こんなところにも中国と日本の違いがあり、観客が受ける感じも微妙に違うように思いました。

 

S_Ten6.jpg   式典では、李さんの司会で、高学長をはじめ、お歴々の方々の中国語の挨拶が延々と続きました。私は、ほんとうに残念ですが中国語は全然だめで、「你好(ニイハオ)」「謝謝(シェシェ)」「再見(ザイチェン)」しか知りません。挨拶の中で何回もでてくる「テンシン・シーハン・ターシェー」というのは「天津師範大学」のことかと思いつつ、挨拶の意味が分からないので、少しうとうとしながら聞いていました。昨夜、本日午後からの学長フォーラムで発表するスライドを修正していたので睡眠時間が少なかったせいもあります。

   最後に海外からの来賓を代表してケニアのナイロビ大学の学長さんが挨拶をし、学生代表が挨拶をして、式典は終わりました。海外の10大学からの代表は、何かのイベントごとに順番に挨拶をし、挨拶の機会が公平になるように天津師範大学側が気を使っているようでした。昨夜の夕食会でも何人かの代表がが挨拶をし、この式典でも一人が挨拶をし、私の出番はまだなのですが、この日の夕方のステージでインタビューに答える形で挨拶をしてもらう、と聞かされていました。「いったいインタビューに答える挨拶なんて、どういうことだろう。一応、挨拶文を英語で書いて持ってきたのだが、果たして、それが役に立つのかどうか?」

   さて、記念式典の後、海外の大学の代表は大学本部の会議室に移動し、世界各地から集まった11の大学間で、相互に横の交流・連携を進めましょうという確認書のサイン式が行われました。円形に並べられたテーブルに11大学の代表が着席し、確認書にサインをしては一つ横の席に移動するという形で、11人のサインのある11個の確認書が出来上がりました。こうすることによって、二つの大学間の交流にとどまらず、国際的な大学間のネットワークが形成されることになりますね。そのような、国際的な大学間ネットワークつくりのイニシアチブを、今回天津師範大学がとったということになります。

 

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   今年の7月に、日本政府は日本の大学の国際化の遅れに危機感を抱き、「留学生30万人計画」を策定しましたが、日本の大学には、日本の大学が中心となって海外の大学間のネットワークつくりのイニシアチブをとろうなんていう発想はなかなか抱けず、世界に占める中国の大学の台頭を、指をくわえて見ているだけということになりかねません。

   そもそも日本政府が高等教育に投入している予算(対GDP比)は、世界の先進国の半分くらいにすぎず、なおかつ、それを、毎年削減しているわけですから、お話になりませんね。(つづく)