- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

学生ベンチャーの成功を期待
~共通教育「アントレプレナー論」の成果~

venture1.jpg   「起業家」についてとりあげた7月25日のブログで、昨年共通教育の「アントレプレナー論」を受講した学生さんが、実際にこの8月にベンチャーを立ち上げようとしているということを書きました。きょう、その学生さんが講師の武田秀一さんと学長室に挨拶にこられたので、皆さんにご紹介します。

  その学生さんは人文学部3年生の志積由香子さんです。名刺交換から始まって、とってもしっかりとした受け答えをされるので感心したのですが、やはり創業しようとするだけあって、すでにりっぱなビジネスウーマンという感じを受けました。

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  志積さんの起こそうとしているのは「クリエイトエリア」という名前のベンチャーで、「PoCO-net」という政治ポータルサイトを運営します。地元の議員さんのブログや、インタビュー記事、いろいろな会合やイベントなどの情報を紹介し、ブログをつくることが初めての議員さんには、そのお手伝いもします。もちろん、特定の政党に限定はしません。                         「PoCO-netへリンク」

  この「PoCO-net」の議員ブログは、現在三重県で毎日5~7万件という最大級のアクセス数を誇るご当地サイトの「ミエワン」からも入れるようになっています。このようなポータルサイトができれば、いちいち各議員さんのホームページにアクセスする必要がなくなるので、地域の住民の皆さんにとって政治を考える際の便利なツールになりますね。

  志積さんがこのようなアイデアを思いついたきっかけは、1年生の時に議員インターンシップに参加をした経験からとのことでした。今後、うまくいけば仲間といっしょに9月頃には株式会社を立ち上げたいとのことで、いよいよ代表取締役社長として志積由香子さんの名前が登記されることになりますね。三重大では、学部の学生さんでベンチャーを立ち上げるのは、たぶん初めてではなかったかと思います。

  これからいろいろと大変だと思いますが、志積さんの会社が成功することを大いに期待していますよ。

  また、志積さんは三重大ベンチャーサークルの代表として、学生のアイデアを地域活性に生かすことができないかと、この7月12-13日、熊野にて「コミュニティービジネス」のビジネスプランを立ててみるイベントを企画しました。三重県の「平成20年度若者起業風土育成事業補助金」を活用し、三重大生を中心に、名古屋大、南山大、名城大、名古屋商科大、佛教大の学生たちが参加しました。なお「コミュニティビジネス」とは「地域の課題を、地域住民が主体的にビジネスの手法を用いて解決する仕組み」とされています。

  会場の県熊野庁舎には行政関係者のほか、一般の傍聴者も参加し、発表した4つのグループのプランの内容は、熊野の大自然や特産品を生かしたビジネスの提案でした。最優秀になったのは、丸山千枚田を生かした「三千枚田」というプランで、これは企業向けオーナー制度の創設と、個人向けのオーナー料金を格安に設定し、世界遺産に準じる素晴らしい農地であり景観地でもある千枚田に人を多く呼び寄せようという提案です。  参考サイト(http://kumano.mie1.net/e56705.html

venture5.jpg venture6.jpg   武田先生がおっしゃるには、三重大の学生さんは一見おとなしそうに見えるが、一人ひとりと接すると熱意もあるし、やる気もあるとのこと。19日の朝日新聞に、07年度大学発ベンチャーの件数は、岡山大の8件が最高であったとの報道がなされていましたが、件数の多い大学ではビジネスコンテストなどを実施してベンチャー設立を支援しているようです。仕掛け次第で、三重大発ベンチャーはもっと増えるのではないかということでした。

  さっそく仕掛けを考えてみましょうかね。