- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

"Think globally act locally"と"Think locally act globally"
~知事トークinキャンパスにて~

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   7月3日(木)に、三重県知事の野呂昭彦さんが三重大の学生に講義をされました。昨年から三重県内の各大学で知事と学生たちが話をする機会(「知事トークinキャンパス」)が設けられ、今年は2年目になります。今回は、環境活動で精力的に活動している人文学部教授の朴恵叔さんが担当する共通教育授業として行われ、約300人の学生が集まりました。

chijitalk7.jpg     知事の講義のタイトルは「美し国・三重の常若」(うましくに・みえのとこわか)というもので、「グローバルな視点」「ナショナルな視点」「ローカルな視点」が大切であること、三重県は成長力も高い地域であり、自信と誇りをもつべきこと、県は「文化力」に力点をおいて政策の具体化を図ろうとしていること、地球温暖化防止のために環境問題に積極的に取り組んでいること、そして、最後に三重大学や学生に期待することを話されました。 chijitalk3.jpg

   お話を聞いたあと、各学部の学生の代表9人が壇上で知事を取り囲んで、順番に質問をしました。学生からは、三重県のごみの分別は他県に比べて不十分ではないかとか、外国人の子供たちの教育の問題をどうするのかなど、私がお聞きしていて、この質問にどうお答えになるのかなと少し心配になる質問もありましたが、さすがに知事ですね。野呂さんはどの質問にもひとつひとつ丁寧に、かつ的確にお答えになりました。学生たちにとっては、知事と直接話し合える機会はめったにないので、たいへん貴重な体験だったと思います。

   さて、このブログのタイトルの“Think globally act locally”と“Think locally act globally”の話に移りましょう。

chijitalk9.jpg     実は、野呂さんの講義の始まる前に、私が挨拶をした時のことです。私は、「学長ブログでおなじみの豊田です。」などと学生たちの笑いを誘いながら、知事の講義の資料に書いてあった「Think globally act locally」(「三重県として何ができるか」「三重県民だけの幸せを追求するな」)という言葉を引用して、これは三重大のミッションにある「三重から世界へ:地域に根差し世界に誇れる独自性」という言葉と同じ趣旨であり、三重県と三重大はいっしょに地域社会に貢献をしていることをお話しました。

    ところが、“Think globally act locally”と言うべきところを、どうも“Think locally act globally”と言ってしまったようなのです。もう少し知事の資料をしっかりと読んでおけばよかったと後悔したのですが、あとで、念のためインターネットで調べてみました。

   すると、検索では両方とも同じくらいの数がヒットしました。もともとは“Think globally act locally”が先で、1970~80年代から使われ始められましたが、最初に言い出した人については諸説があります。ただ、たとえば、地球規模の環境問題の解決には、世界中が協力して取り組まないと限界があることもあり、“Think locally act globally”を使う人も出てきたようです。また、両者は矛盾する言葉ではないと考えて、両方合わせて使う人もいます。

   「三重から世界へ:地域に根差し世界に誇れる独自性」というミッションの言葉は、“Think globally act locally”と“Think locally act globally”の両方の意味を含むということにしておきましょう。