- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

不利な条件の中での実績は"本物"の証拠
~三重大の産学官民連携と知的財産活動について~

   三重大の附属病院側の入口を入って、病院の左側のクスノキの並木道をしばらくいくと、「創造開発研究センター」という建物があります。この入口を入ると、左側の壁に人の名前が書いてあるプレートが張ってあるのに気がつきます。これは、いったい何のためのプレートなのでしょうか?

chizai1.jpg chizai2.jpg chizai3.jpg    「創造開発研究センター」は2004年の法人化の前までは「地域共同研究センター」と呼ばれていた施設ですが、三重大の産学官民連携の総合窓口と考えていただければいいでしょう。このセンター内には、さまざまな産学官民連携を推進する組織や施設が入っています。窓口業務をする「社会連携チーム」や産学官民連携の仲立ちをするコーディネータさんが常駐する「リエゾン室」、知的財産(特許など)の推進・管理をする「知的財産統括室」、大学発ベンチャーを育成する「キャンパス・インキュベータ」、そして技術移転機関である(株)三重ティーエルオーも入っています。

   三重大の企業や自治体との共同研究数は法人化後急速に増えました。中小企業さんとの共同研究の比率が多いのが特徴であり、この地域に貢献している大学であることを示しています。また、特許の申請件数も増えました。特許は「知的財産」の一つですね。「知的財産」とは発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるものとされています。 「特許出願数」「共同研究数」 「共同研究規模」 「共同研究相手先」

   さて人の名前が書いてあるパネルはいったい何のためかということですが、これは、本学の知的財産活動に対して大きく貢献された方々を毎年表彰し、その方々のお名前をプレートに刻印して末長く栄誉を讃えようという目的なのです。これは、昨年から始めています。

chizai4.jpg    今年は、6月16日にその表彰式が行われました。表彰は、「知的財産最多届出賞」「知的財産最優秀出願賞」「知的財産活用賞」の3つがあり、それぞれ生物資源学研究科教授の寺西克倫さん、生物資源学研究科教授の粟冠和郎さん、医学系研究科准教授の藤川隆彦さんが選ばれました。

   これを励みに、本学の教職員の皆さんの知的財産の取り組みがさらに活発になることを期待しています。

   ところで、知的財産活動の推進を図る国の事業として、2003年に「大学知的財産本部整備事業」および「特色ある知的財産管理・活用機能支援プログラム」という文部科学省の事業があり、34+9件の大学が選ばれましたが、残念ながら三重大はその選にもれていたのです。しかし、法人化後、落選にもめげずにコーディネータさんをはじめ教職員の方々がなにくそとがんばってきました。今年は「大学知的財産本部整備事業」が終了し、新たにその後継事業である「産学官連携戦略展開事業(戦略展開プログラム)」が始まって55件が採択されたのですが、幸い三重大はその中に選ばれました。

   もちろん、各方面からいろいろなご支援をいただいているのですが、他大学に比べて不利な条件の中で、一生懸命実績を積み重ねてきたことが認められたのではないかと思っています。逆に、不利な条件でがんばってそれなりの成果をあげたということは、三重大の産学官民連携はそれだけ“本物”であるということだと思います。