- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

ケータイの通じないすばらしい自然空間を大いに活用しよう
~演習林にて(その3)~

forest3.1.jpg     皆さん、この素晴らしい渓流の写真を見てください。いったい、これがどこの風景だと思いますか?三重大演習林には、こんなすばらしい渓流があるのです。伊勢湾に流れ込む雲出川の源流にあたり、川好きのみなさんにはたまらないところだと思います。

   毎年、学生たちが宿泊施設に寝泊まりして、この素晴らしい自然環境の中で貴重な学習体験をします。ケータイが通じないと説 forest3.2.jpg 明すると、学生たちには最初とまどいが生じるそうですが、すぐに友達や先生といっしょに寝泊まりして、自然の中で学び議論し合うことのすばらしさを実感します。

    特に、この渓流は学生たちのお気に入りでもあり、自由時間を与えるといつまでも川で過ごしているそうです。もう一つ学生たちが感激するポイントは海抜1200メートルの峰の頂上です。急な山道を登ることはかなりしんどいのですが、頂上からのすばらしい眺めにはみな感激をするそうです。

   宿泊所は6月というのにストーブをつけていました。海抜500メートルのところにあって涼しく、冷房は必要

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ないとのことです。初代の宿泊所は木造で戦前の高等農林学校の 時に建てられているので、その歴史は実に80年にもなります。講義室、資料室、研究室、寝室、食堂、管理室などからなり、学生たちはこのケータイのない環境で、外部からじゃまされずに合宿して学習に専念することができます。(左の写真は昭和2年に竣工した木造宿泊所です。)

   演習林は、森林資源環境学講座の学生対象の専門的な実習や、生物資源学部全体の学生の実習以外にも、他学部の学生の実習にも使われ、また、他大学の方々や市民講座など公的機関の体験教室にも開放しており、平成18年度の学外者の利用実績は65件もあったとのことです。

   宿泊所の横にある池では、アマゴの稚魚を養殖し、地元の漁協に供給しているとのことです。この美杉地域ではアマゴ料理が有名で、私たちもふもとのアマゴ料理専門店で舌鼓をうちました。 forest3.4.jpg

    この4月4日に美杉地域は、森林セラピー実行委員会(本部事務局:社団法人国土緑化機構)から「森林セラピー基地」の認定を受け、平成21年秋に予定する美杉地域森林セラピー基地グランドオープンに向けて、ロード整備や受入体制整備を進めようとしています。三重大演習林の入口のところまで区域の中に入っており、三重大の先生もこの取り組みに協力をしています。

   演習林にはりっぱな木があって、写真のような太いヒノキや、江戸時代の藤堂藩の時代に植林された「藤堂杉」と呼ばれている杉の林があります。このような太い杉は最近では少なくなり、希少価値がついている

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とのことでした。

    ふもとには北畠神社があり、すばらしい庭園が残されています。このあたりは昔、織田信長に滅ぼされた北畠氏の領地だったところで、大阪方面からの伊勢参宮に使われた「伊勢本街道」の要衝でした。

   この付近の山にはマムシがいるそうですが、万が一かまれた時でもご安心ください。雲出川を少し下ったところに三重県立一志病院があります。そこで家庭医療の取り組みも始まり、三重大学の先生がたもいっしょになって、地元に密着した予防医療や福祉・健康指導も含めた幅広い医療を行っています。マムシ用の抗血清もちゃんと備えられていますよ。