- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

客席に誰もいない大ホールで三重県知事と対談
~大学と地域とのかかわりについて二人だけで大いに盛り上がる~

gavanor1.jpg     528日、三重県知事の野呂昭彦さんと、三重大学講堂の大ホールにて、「地域と共に活きる」をテーマとして対談をさせていただきました。1500人収容の大ホールには、観客が一人もいませんでした。と言いましても、これは、知事と学長の人気がないということではありませんので、絶対に誤解しないでくださいね。実は、“ウェーブ三重大”という三重大学の広報誌に載せるための対談であり、わざと、観客が一人もいない大ホールというセッティングで収録が行われたのです。“ウェーブ三重大”は三重大のいくつかの広報誌の一つで、学術研究活動を中心に紹介し、三重大と関連している企業や官公庁などに5000部ほど配布させていただいています。

 

  このがらんとした大ホールで対談をするという、とっぴょうしもないアイデアの発案者は、情報・国際交流担当理事で副学長の小林英雄さんです。小林さんは、三重大全体の国際交流の責任者であるとともに、情報の責任者(CIO:チーフ・インフォーメーション・オフィサー)であり、広報についても担当しています。はたしてどんな情景になっているのか、“ウェーブ三重大”のできあがりが楽しみです。

 

  それにしても、大学の一広報誌に掲載するための対談に、たいへんお忙しい知事が、よくぞ時間を割いていただいたと思います。それだけ、大学のことを重視していただいているご姿勢の現れであり、たいへんうれしく思います。全国の知事の中でも、これだけ地域の大学のことを考えていただいている方は少ないのではないかと思います。 gavanor2.JPG

 

  昨年、国の財政制度等審議会が、地方国立大学の予算を半減させるという試算を出した時にも、知事はいち早く反対の行動をおこしていただき、その動きが全国に広がって、近畿知事会、そして全国知事会の決議につながり、三重県議会でも決議をしていただきました。また、津市長の松田直久さんも直ちに行動され、津市議会でも決議をしていただくなど、この一連の自治体の皆さんの行動力は、大学と地域が一体であるということを強く感じさせられた、忘れようとしても忘れられないできごととなりました。裏返せば、これは今まで三重大の教職員のみなさんが、地道な地域貢献活動の実績を一つひとつ積みかさねてきたことが、地域の皆さんから評価されたものであると思います。

 

gavanor3.JPG   さて、企画・評価担当理事・副学長の東 晋次さんの司会のもとに、知事と対談をさせていただきましたが、その内容はたいへん密度の濃いものになりました。知事とは、今までにも定期的に懇談会を開催するなど、何度もお話をさせていただく機会はあったのですが、今回のように2時間にわたってじっくりとお話をする機会はありませんでした。この対談で、知事が進めようとしておられる「文化力」や「美(うま)し国おこし・三重」政策の考え方が、たいへんよく理解できたと思います。地域の知の拠点を自負する大学人としても共感できるコンセプトであり、三重大も、そして、この地域の高等教育機関もいっしょになって貢献できるのではないかと感じました。

 

  このようなわけで、たった二人だけなのですが、私にはがらんとした大ホールがまだ小さいと感じるくらいに大いに盛り上った2時間でした。本日ご紹介できなかった対談の内容などは、また次の機会をみてご紹介していきたいと思います。