- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

地域企業のイノベーションをいかに進めるか?(その1)
~コラボ産学官三重支部認証式~

   皆さん、日本の中小企業はいったいどれくらいあると思いますか?約420万社もあって、全企業の実に99.7%を占め、雇用者数は約2/3以上とされているんですよ。中小企業の活性化が、我が国全体の経済の発展を大きく左右するというのもわかりますよね。

   三重県は大企業誘致のおかげで、ここ数年の経済成長率は日本一とされ、製造品出荷額も東京都を抜いて第9位になったとのことで、これはこれでたいへん喜ばしいことです。しかし、大企業の誘致が一段落した後は、やはり中小企業に成長していただかないことには、地域の成長は期待できないのではないでしょうか?

   地域貢献を旗印にかかげている三重大学としては、地域の企業にイノベーションを起こしていただこうと、今まで、自治体や金融機関ともいっしょになって産学官連携のいろいろな取り組みを仕掛けてきました。現在、三重大学と包括連携協定を結んでいる地域の金融機関としては、百五銀行、三重銀行、岡三証券があります。「産学官連携」というよりも「産学官金連携」という方が適切かもしれません。

collabo1.jpg    さて、5月19日「コラボ産学官三重支部」の認証式が四日市都ホテルで開かれました。「コラボ産学官」という言葉を初めてお聞きになった方も多いと思いますが、東京の朝日信用金庫と電気通信大学の産学官連携の仲介組織である「(株)キャンパスクリエイト」が協力して、04年に設立された全国的な産学官連携仲介組織です。その呼びかけに応じて、北見工業大学や信州大学といった地方の大学が多数参加しました。三重大学もそのうちの一つで、「三重大学東京オフィス」を朝日信用金庫の建物にある「コラボ産学官」の中に設けています。また、三重大学発のベンチャー企業もすでにファンドの提供を受けています。

   今回「コラボ産学官」としての地方大学との産学官金連携を東京だけでやっていても限界があるので、信金のもつ全国ネットワークを生かして地域で展開するという方針になり、第6番目の支部である「コラボ産学官三重支部」を北伊勢上野信用金庫内に設立するということになりました。信金には地域に密着した中小企業のネットワークがありますので、この地域の中小企業のイノベーションの機会がいっそう増えることになると思います。

   地方大学の存在意義を主張するためにも、このような地方大学どうしの全国的な連携組織を活用して、旧帝大とは一味違った産学官金連携の成果を上げることが大切であると考えています。考えてみればEUも、小さな国の連合組織で、アメリカやロシアという超大国に立派に対抗しているんですからね。

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[コラボ産学官理事長の常本秀幸さんのご紹介]
   この4月から有限責任中間法人「コラボ産学官」の理事長に就任された常本秀幸さんは、3月まで北見工業大学の学長をされ、また、信州大学の監事もされておられます。昨年、地方大学の交付金大幅削減の試算が国の財政制度等審議会から出た時には、北海道地域の皆さんに地方大学の意義をご理解していただくために尽力されました。現在、「コラボ産学官」によって形成された地方大学のネットワークを活用した「スーパー連携大学院」設立のために奔走しておられます。ブログについては、私よりも先輩であり、07年1月から北見工業大学の「学長室ブログ」を続けておられました。