- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

"ソロモン流"放映不採用でドン小西宅へ押しかける
~真のプロフェッショナルとは?~

   2月20日のブログで、テレビ東京系の番組“ソロモン流”の収録のために、ドン小西が学長室に出現したことを書きましたが、覚えていらっしゃるでしょうか?その放映は4月13日(日)のはずだったのですが、私が出演することを期待していた 何人かの“ファン”の方々から、せっかく番組を見たのに豊田学長のシーンがなかったとのメールをいただきました。  

  実は、出張のために東京の近くにいた私のケータイにドンから突然電話がかかってきて、三重大に訪問したシーンや、津の実家に帰ったシーンは時間の関係でカットされ、たいへん申し訳ないことになったという。ドンに言わせると、テレビ局のスタッフに対してかんかんになって怒ったらしいが、どうしても受け入れらなかったとのこと。

画像4.16.1.jpg    そこでさっそく、月曜日の夕方に出張の仕事のあい間を縫って、東京は白金(しろがね)のドンのマンションに押しかけ、写真のような情景となりました。

   お詫びに夕食をごちそうしてくれるというので、タクシーに乗って西麻布まで。「豊田君は上品なところより、こういうところの方が好きなんだろう」と彼のいきつけのやきとり屋につれていってくれました。実は、その店の向かいが、7,8年前に彼のファッション事業が隆盛を極めた時に入っていたビルであったという。

   よくはやっているお店で、月曜日というのにカウンターは満席でした。たしかに、男二人だけでの静かな席というのも場がもたないと思われ、このようなカウンター席で、周りに人がいる方が気まずくならない。お客さんもそれとなくドンを注視しているようでした。東京かいわいでは彼を知らない人はいないらしく、隣の女性客もドンに話しかけてきたし、道を歩いている時にも、自分のファッションをドンに見てもらおうと若者が話しかけてきました。

画像4.16.3.JPG 画像4.16.2.JPG    私のほうは遠慮なくおいしいやきとりを腹いっぱい食べさせてもらいつつ、ドン自身がデザインをほどこしたボトルに入っていた焼酎を飲み干させてもらいました。やきとりの次は、通称「ビストロ通り」のバーで、ドンと人生談義を続けました。その興味ある話のすべてを紹介するスペースはありませんが、ほんの少しだけ紹介いたしましょう。

画像4.16.6.JPG      ドンの場合はテレビに映っている姿と、われわれに接する姿とほとんど同じなのですが、それは、他人が見ることのない私生活においてもプロとしての美学を忘れないように心がけている賜物であるという。たとえば、ドンは歯ブラシ一本の置き方にも妥協をしない。  

   ドンは、デザイナーであると同時に、テレビにも出演し、週刊朝日にも連載をし、名古屋学芸大学の特別講師でもあり、「みえの国観光大使」もつとめ、また、これから伊勢新聞でコラムの連載も始ようとしているマルチデザイナーですが、真のプロとは、単なるデザイナーの枠の中にとどまるのではなく、その枠を超えて新たなことに挑戦できる人間であるという。

   考えてみれば、これは、私が今年の大学院の入学式で「皆さんは、一つの専門に徹底することと同時に、幅広い学識を身につけ、他の研究分野の研究者とも情報交換を行い、どのような課題にも対応できる柔軟な問題解決力を身につけることが必要です。」と述べた趣旨とまったく同じです。ドンとの納得のいく人生談義に “ソロモン流”の一件も忘れてしまって、気がついたら12時を過ぎていました。