- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

附属学校園育友会の皆さんの来訪
~附属学校園の未来へ向けて~

   4月9日は三重大学附属学校園(幼稚園、特別支援学校、小学校、中学校)の育友会の代表の皆さんが学長室を訪問されました。育友会は生徒の父母の皆さんに作っていただいている会で、父母の間や先生とのコミュニケーションを進めていただき、附属学校園に対していろいろとご協力をいただいており、たいへん感謝をしています。今回の訪問の話題は、昨年育友会の皆さんから学長に対して提出していただいた要望事項が、どれだけ実現したのかということを確認することでした。 

4.14画像3.jpg    2月22日のブログで、学生さんとの懇談会の時に出てきた要望事項に対して、実現できることとできないことがあるけれども、要望していただかないと何も改善しないので、どんどんと要望してほしいことを書きました。これは、育友会の皆さんについても同じことで、お応えできることとできないことがありますが、直接お会いしてお互いに本音を語り合うことで、たいへん理解が深まったのではないかと思いました。

    さて、要望事項のうち、附属の先生方の待遇を公立学校の先生方に近づけるという長年の懸案については、大学全体の予算が着実に削減される中で、なんとか実現しました。
   一方、少人数クラスの実現については、以前からの皆さんの強いご希望であり、私自身ももし可能ならばぜひともそうしたいと思っているのですが、なかなか国が許してくれないであろうと説明しました。

   2月14日のブログでも書きましたが、最近の初等中等教育についての国際的な学力テスト(PISA)で我が国の順位が低下していること、また、フィンランドが高得点であることが報道されました。フィンランドでは、各学校の自主性に任せ、知識だけではなく、それを活用して自ら考え、問題を解決する教育をしていることがテレビで紹介されましたが、日本のように40人学級ではなく、文科省の調査によれば、市や地方によって28~32人を理想的な人数として運用し、おおむね35人になると、2クラスに分けているそうです。

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   実は三重大学でも、自ら考え問題を解決する教育を全学的に展開しようとしており、また、附属学校でも、そういう教育に取り組んでいるのです。私の経験からは、このような自分で考え問題を解決する授業は、先生が生徒さん一人ひとりの顔を見ながら指導することや、生徒と生徒の間でのコミュニケーションの促進が必要であり、そのためには少人数クラスが不可欠であると考えています。多人数であるとどうしても単なる知識の伝達だけに終わってしまいがちであり、限界があると思います。


   “ゆとり教育”の趣旨も、本来はそのような教育をすることが目的であったようです。先生が教室で教える授業時間を減らしたとしても、生徒さんが自分たちで考えて問題を解決する時間、つまり学習時間はむしろ増やすことが必要だったのではないでしょうか? 

    附属学校の存在意義は、評価が定まっていない教育を実験的に実施する“実験校”であるということですので、少人数教育に効果があるのかないのか、あるとしたらどの程度あるのか、効果の上がる少人数教育とはどういう教育なのかを調べるために、少人数教育を附属学校でこそ試みてみるべきではないかと思います。