- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

「地域SNS」は地域コミュニティー復活の鍵

joho1.JPG    3月7日に、三重大学のメディアホールにおいて、「情報化シンポジウム・イン・三重 ~産・官・学と地域の連携で地域情報化を推進する三重を目指して~」と題するシンポジウムが開かれました。

   このシンポは三重大学、(財)中部生産性本部、(財)地方自治情報センター、(財)社会経済生産性本部(情報化推進国民会議)の主催で、「地域情報化」というテーマで、日経メディアラボ所長の坪田知己さんが記念講演、総務省の藤井信英さんと三重大学の情報・国際交流担当副学長の小林英雄さんが基調講演を行い、その後パネルディスカッションと市民参加による討論会が開催されました。会場にはブラザー工業株式会社取締役会長の安井義博さんも来ておられました。

joho2.JPG    さて、パソコンや携帯電話のほとんどの家庭における普及、そしてブロードバンドといわれる高速の通信網の整備がなされ、わが国のICT(information and communication technology)の基盤が整備され、インターネットやeメールは私たちの生活に欠かせないものとなりました。しかし、今「地域情報化」の重要性が強調されているのは、ICT の活用をさらに一段と進めて、地域のさまざまな問題解決に活用することにより「いつでも、どこでも、だれでも」がICTの最大限の恩恵を受けることができるユビキタス情報社会を実現しようとするためです。

   わが国では、地域コミュニティーの希薄化による問題が表面化していますが、今、各地域でさまざまな地域SNS(social network service)が立ち上がり、たとえば高齢者の孤独死の防止への取り組みも始まっています。このほか、地域の医療が崩壊する中で、子育て支援を地域SNSで行おうとする取り組みや、その他さまざまな応用が考えられるでしょう。また、地域の自治体と住民がICTを活用して、官民協働で地域の問題の解決に取り組むことも推進されようとしています。

   この日のシンポでは、このような「地域情報化」、特に「ICTの利活用 」のすばらしい具体的事例が紹介されるとともに、克服するべき問題点が討論され、地域コミュニティーの復活に明るい希望が得られた “はず”です。

   “はず”ですと申しましたのは、実は、私はこのシンポの冒頭の挨拶だけをさせていただいて、出張のためにすぐに東京へ出発したのです。ダブルブッキングやトリプルブッキングがしばしばおこる学長としての、たいへんつらい一面です。

joho3.JPG 出席をされた小林副学長から、一言コメントをいただきましょう。

小林副学長のコメント
   「本シンポジウムには、産官学民から約120名の参加がありました。三重県におけるICTを活用した地域情報化に寄せる関心度が高いことが分かります。地域の情報化では、携帯電話や光ファイバ等の基幹系通信サービスのように国や通信事業者が主体となり開発しトップダウン的に利用者に提供するのとは異なり、産官学民が連携して地域に適したコミュニティサービスを利用者が主体となりボトムアップ的に作り上げる全く新しいアプローチが必要となります。
   本シンポジウムでは、これら地域の情報化を推進するに当たって必要となる産官学民の役割や連携法について議論する場となりました。地域情報化の必要性と課題について、それぞれの立場を超えて共有することができた有意義なシンポジウムだったと考えます。」