- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

待ったなしの大学の国際化

kokusai1-1.JPG    3月10日に「三重大学国際交流セミナー」がメディアホールで開催されました。この日の講師は文部科学省大臣官房国際課長の吉尾啓介さんで、「文部科学省の国際戦略」と題してお話をうかがいました。

   大臣官房国際課というのは、文部科学省全体の国際的な事業、たとえばスポーツの国際大会なども含めて取り仕切るところで、その課長さんというのは、たいへんな責任の重い重要なお仕事をなさっていることになります。吉尾さんは、ユネスコの職員としても働かれたことがあり、文科省の中でも一貫して国際的なお仕事をされてこられました。

   実は、大臣官房国際課が窓口となっている“国際連合などの国際機関の日本人職員の方々を大学の講師として紹介する事業(I in U Plan)”を三重大学の人文学部が活用させていただいていたところ、その課長さんになられた吉尾さんが東京外国語大学在学中のときに、本学の人文学部長の井口靖さんの後輩で親交があったということで、この話が実現しました。

kokusai2.JPG    吉尾さんのお話は、ご自身がどのようにして文部科学省に入り、国際的な仕事をするようになったのかから始まり、“200万人を超える外国人在住者と外国人師弟の教育”、“「留学生30万人受け入れ」のインパクト”、“欧州極・中国・インド”、“外国語能力―小学校での英語、日本語の普及”、“日本の教育への期待と関心”、“大学―国際的な競争の場へ”、“大学グローバル化プランの策定”という内容で進みました。

   大学については、留学生の数が1980年頃は1万人台であったものが、2007年には11万8千人に増えたものの、果たして大学の「国際化」がどこまで進んだかと問われると、それほど進んだとは言えないのではないか。制度面はかなり弾力化したのに、なぜ、国際化がそれほど進まないのかと考えると、内なる国際化、つまり日本人の意識の問題が大きいのではないか。また、日本人は、英語ができなくても誰も困らない幸せな国であることも影響しているのではないかと思うとのことでした。

   ちなみに、吉尾さんが国際課長になる前には、秋田国際教養大学の事務局長を3年間お勤めになったのですが、そこでは、すべての授業が英語で行われており、また、吉尾さん自身も英語で授業をされたとのことでした。

kokusai2-2.JPG    今後は、日本の大学に来たいと思う海外の学生を増やす必要があるが、そのためには、奨学金や宿舎などのインフラの問題と、日本の大学の国際的なブランド力を高める必要があると思うとのことでした。最後に三重大学の英語のホームページが分かりにくいので、改善する必要があるというご指摘をいただきました。HPについてはさっそく改善することにしました。

   しばらく前にフランスのリヨン大学の先生が本学を訪問され、英語ですべての授業をする“国際村”を作ったので三重大学生も来て欲しいとおっしゃっていましたが、フランス語にあれだけ誇りをもっていたフランスの大学でさえ、留学生を集めるために英語で授業をする時代になったということですね。たしか、香港中文大学でも英語で授業をしていたと思います。

   三重大学もごく一部の授業は英語で授業をやっていますが、いよいよ「国際化」を本格的に進めなければならない時期が来ていると改めて思いました。