- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

新しい練習船「勢水丸」の筆文字原稿
~小学校の習字の授業は大切だよ~

   2月27日は、新しく建造される「勢水丸」の船体に表記される船名の筆文字原稿の締め切り日でした。

   「勢水丸」というのは、三重大学生物資源学部の練習船の名前です。学生の海洋での実習や、海洋の研究に欠かせない船ですが、中部地区の大学が所有する唯一の練習船で、他大学の海洋実習や研究にも協力してきました。

   現在の船は昭和55年(1980年)に建造されたもので、すでに船の耐用年数が来ており、船底にあいた穴のつぎはぎをしながらなんとか運行してきましたが、代わりの船を建造することが国からようやく認められ、新しい船をつくることになったのです。

   「ようやく」認められたというのは、国の財政難により、国立大学への予算が削減され、なかなか予算がつかなかったのです。私も奔走をしましたが、いろいろな方々のご尽力のおかげで、やっと実現しました。

   新しい練習船は、海底地形探査装置や自動気象観測装置など、海洋観測や大気観測の設備を充実し、また、海洋ブロードバンドを搭載して高度情報化時代に対応できる装備を備えています。学生の実習にとどまらず、伊勢湾再生プロジェクトをはじめ、この海域のさまざまな研究プロジェクトに貢献でき、大学が地域貢献を果たしていく上でも大きな意味をもっています。(新勢水丸についてはhttps://www.bio.mie-u.ac.jp/seisuimaru/を見てね。)

   さて、船名の筆文字原稿の件ですが、実は私は小学校以来、習字というものをしたことがなく、果たして船体に掲げていただけるような字が書けるかどうか、まったく自信がなかったのですが、現在の船体名の文字は、当時の三重大学第5代学長の井澤 道(ただす)先生がお書きになられており、学長の役目ということでお引き受けをしたのです。(というよりも、引き受けさせられたという感じが強いのですが・・・)

   小学校のときの習字の時間を思い出して、恥ずかしながら字の書き順なども辞書で確認しつつ、締切日に何とか書き上げたのが写真の字です。今後、船の耐用年数の25年間、私の字が船体に掲げられるとは、たいへん光栄なことと思う一方で、ちょっと申し訳ない気持ちもいたします。それにしても小学校の習字の授業の大切さを57歳になってはじめて思い知るとは・・・。

seisui.jpg    井澤先生の字は、たいへん均整のとれた落ち着いた字ですが、私の字は、少し元気がはみ出している感じですね。でも、乗組員のみなさん、教員の方など練習船を利用されるみなさん、海の安全には最大限の注意をしていただいた上で、教育・研究そして地域のために、新しい練習船を元気がはみ出すくらい活用しましょう。

(勢水丸の建造は三菱重工・下関造船所で行われ、3月に起工式、8月に進水式、来年の1月には松阪港で三重大学に引渡しが行われる予定です。)