- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

未来へ発展させたい貴重な産学官民ネットワーク
~みえメディカルバレープロジェクト~

medical1.JPG   2月14日(木)「みえメディカルバレー推進代表者会議」が津市内で開かれました。この会議は三重県内の10の高等教育機関、(株)三重TLO、5つの医療関係の団体、医薬食品関係の企業、中部経済産業局、県の代表者からなり、私が会長を務めさせていただいています。

   この日の最初の議題は「みえメディカルバレープロジェクト」(略してMVPと言います)の進捗状況についてで、各代表者の方が、最近の取り組みについて順に報告しました。MVPは三重県の主導で6年前から始まり、医療福祉健康産業の振興を目指した産学官連携クラスターを形成しようとする取り組みですが、次の議題では、MVPの第2期である今後3年間の取り組みについて議論をしました。

medical2.JPG    MVPは、三重県の他のバレー構想であるクリスタルバレー構想のような大企業の誘致によって産業振興を図ろうとする取り組みとは違って、この地域の高等教育機関、医薬健康福祉関係の小さな企業から中堅の企業まで幅広い企業のみなさん、この地域の医療機関や医師会、行政、そして(株)三重TLO等のコーディネート組織からなるネットワークによって、さまざまな産学官民の交流事業を行い、この地域の中でイノベーションを生み出そうとする取り組みです。

medical3.JPG   昨年の日経バイオテックのバイオクラスターランキングでは、全国の約30あるクラスターの中で第4位の評価をいただきました。高い評価の理由として、みえ治験ネットワークの存在があげられています。三重大学の先生方が中心となって、県下のほとんどの病院や医師会のご協力を得てネットワークを形成し、新しい薬剤や健康食 品の治験を年50件以上引き受けています。このネットワークを作ることは、一見簡単なようでなかなか難しいのです。みえ治験ネットワークがなぜうまく機能しているのか、他県からも見学者がたくさんおいでになるんですよ。都会よりも、むしろ、地縁が強い地方のほうがネットワークを作りやすいのかもしれません。medical4.JPG

   良好に機能しているネットワークの価値は、形に見えないので、なかなか皆さんにご理解いただけない面もあるのですが、これをいったん壊してしまったら、再度構築するには、たいへんな労力と時間が必要であり、計り知れない価値があると考えます。

   三重県の財政状況もますます苦しくなる中で、MVPに対する支援も減少するかもしれませんが、この地域にとって未来に発展させたい貴重な財産である産学官民連携のネットワークMVPの活動だけは、絶対に低下させてはいけません。