- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

山中伸弥教授は地方大学出身者の希望の星
~大学院学位記授与式にて~

    12月19日大学院の「学位記授与式」がありました。堅苦しい言葉と感じる人もいると思いますが、「修士」や「博士」の学位を記した証明書をお渡しする式、という意味で「学位記授与式」と言われています。学部の「卒業式」も、最近では「学位記授与式」と言われます。    以前は、学部を卒業しても「学位」はありませんでしたが、最近「学士」という「学位」を与えることになったから
です。
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    また、なぜこんな時期にするのか不思議に思う人もいるかもしれませんが、研究というものは、本来スケジュールどおりに進むものではなく、論文の完成がいつになるか分からない面があるので、3月以外にも授与式をやっているのです。

    さて、この日は、たまたま医学系の博士の方々ばかりとなり、式辞では、最近、ノーベル賞級の研究であると話題になっている京大の再生医学研究所教授、山中伸弥さんについても触れました。

    ニュースでは「京都大学」の山中教授としか報道されないのですが、彼は、神戸大医学部の出身で、整形外科医を目指し、大阪市大で博士の学位をとられました。その後、カリフォルニア大のグラッドストーン研究所で再生医学の研究をされ、帰国後大阪市大から奈良先端大学院大を経て、最近(04年)京大へ移られました。

    わが国で自然科学のノーベル賞をとった方々の出身大学は、京大、東大、東工大、東北大で、いずれも旧帝大や東京の大学です。もし、中央の大学以外の出身で、公立大で博士号をとった山中教授がノーベル賞をもらわれたら、地方大学にもノーベル賞級の研究能力を持つ人材が育つことの証となります。もっとも、神戸大学は地方大学とはいえないかもしれませんが、地方大学が目標にすることのできる大学でしょう。

    ただ、地方大学のつらいところは、このような優秀な研究者を花咲かせる研究環境が、中央の大学ほどには整備されてこなかったことであると思います。国には、やたらと地方大学の予算を削る計算をするのではなく、地方大学の潜在力を生かす政策をお願いしたいと思います。