- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

学生の本音を引き出すには?
~大学認証評価を受審して~

  11月19日と20日、独立行政法人大学評価学位授与機構による大学認証評価の訪問調査を受審しました。大学認証評価は2004年の国立大学法人化と時期を同じくして開始され、大学として満たすべき教育・研究活動や管理運営面について評価するもので、国立大学ばかりではなく、公・私立大学にも受審が義務付けられています。評価機関の定める評価項目に沿った書面審査と訪問調査からなり、今回は訪問調査でした。

  学長、理事、学部長・研究科長等の幹部のヒアリング、学内の視察、そして、学生や教職員、OBの皆さんに対するインタビュー等が行われました。評価結果は、まだわかりませんが、最終の評価員と大学幹部との懇談の時には、若干の指摘事項はあったものの、学生とのインタビューでは学生の愛校心が感じられ、面倒見の良い大学であると感じられたこと、5つの学部が一箇所にあるというすばらしい学習・研究環境にあること、管理運営面でも大学執行部と教員との関係がうまくいっていること、などが述べられ、総じてまずまずの評価を受けたように感じました。

  実は私も、文部科学省の視学委員として、また、大学評価学位授与機構の評価員として、大学評価の経験があるのですが、評価をされる側もたいへんですが、評価をする方も、その労力や緊張感はたいへんです。そのような評価員の心が和らぐひと時が学生とのインタビューの時間でした。

  ところで、そのようなインタビューでは、学生の本音を引き出すことがポイントですが、これにはそれなりの工夫が要ります。まず、どんなことを発言しても学生自身が不利益を被らないことを説明します。しかし、それだけでは不十分であり、私の場合は、「皆さんが何を言っても大学が不利益を被ることはありませんよ」と言うことにしていました。多くの学生は、自分の発言で大学が低い評価を受けて予算が減らされることになれば大変だということで、大学に不利な発言は控えるものです。

 では、このような評価員の誘導発言につられて、学生が大学に対する不満をどんどん喋った場合には、どうすればいいでしょうか?

 私なら、単に学生の不満が多かったというだけでは低い評価はつけません。第一、学生にうそをついたことになりますし、不満そのものよりも、学生の不満を聞いて、それを改善するマネジメントシステムが機能しているかどうかの方がもっと大切であると思うからです。これは、三重大学が最近受審をしたISO14001(環境ISO)における評価の理念と同じですね。