- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

「コーディネータ」とは「仕掛け人」?

 10月24日に「第3回三重研究コーディネータ会議」が、三重大学のメディアホールで開催されました。この会議は三重県科学技術振興センターが主催し、三重大学が共催しているもので、研究コーディネータの方を中心に、約70名の関係者が集まりました。

 まず、文部科学省科学技術・学術政策局の科学技術・学術戦略官(地域科学技術担当)の佐伯浩治さんが、「文部科学省の地域科学技術振興施策について」というタイトルで基調講演をされ、次いで、(財)三重県産業支援センターの科学技術コーディネータである伊坪 明さんがコーディネートスキルセミナーとして、「イノベーション創出をめざす産学官連携の推進、三重モデル「プロジェクト構築試論」」をお話され、三重大学大学院工学研究科長の武田保雄先生が、プロジェクト提案事例講演として、「最新電池技術について、全固体ポリマーリチウム電池への期待」をお話になりました。

 さて「コーディネータ」という言葉は「調整役」と訳せばいいのでしょうか、ここ10年くらいの間に盛んに使われるようになった言葉であると思います。以前はパネルディスカッションの司会をコーディネータと呼ぶくらいの感覚でしたが、最近では一口に「コーディネータ」といっても、さまざまな種類があって、大学人がしばしば耳にするようになった、「産学官連携コーディネータ」、「治験コーディネータ」、「移植コーディネータ」、「特別支援教育コーディネータ」などの他に、世間では「ITコーディネータ」、「ボランティア・コーディネータ」、「人材紹介コーディネータ」、「福祉住環境コーディネータ」、「インテリア・コーディネータ」、「カラー・コーディネータ」、「アロマ・コーディネータ」、「ファッション・コーディネータ」、「ジュエリー・コーディネータ」、「ブライダル・コーディネータ」、「フード・コーディネータ」、あるいは「ドッグ・コーディネータ」や「仏事コーディネータ」など枚挙にいとまがなく、いささか「コーディネータ」という言葉が氾濫しすぎている感じも受けます。
 
   しかし、それだけ、今の世の中では、部分・部分を組み合わせて統合し調和させることの大切さ、あるいは人と人との協働や連携の大切さが認識され、「コーディネータ」が独立した「資格」や「職業」としてりっぱに認知されつつあることを示しているものと考えます。昔は、見合いの仲介をする近所のおばさんが結構活躍していたように思うのですが、最近の家族関係や地域コミュニティーにおける人間関係の希薄化も、このようなコーディネータが求められるようになった一因かも知れません。また、「コーディネータ」の役割も、単なる「調整役」では不十分であり、新しいものを「プロデュース」する能力が求められるようになっています。
 
 「コーディネータ」の日本語訳でぴったりのものはないと思いますが、「仕掛け人」という言葉が、なかなか的をついた言葉であるように感じています。